私が今回おすすめする小説は、ダニエル・キイスの「アルジャーノンに花束を」です。
この小説は今から50年以上前にアメリカで発表された小説ですが、映画化されたり、日本でもドラマ化されています。
氷室京介さんがきっかけ?
特に世に広く知られるきっかけとなったのは、ロック歌手の氷室京介さんが、所属した伝説のロックバンドであるBOØWY(ボウイ)を解散した後、ソロ活動を開始したのですが、初めてのソロアルバムのタイトルが、この小説の原作のタイトルと同じものでした。
私も、その影響で小説を読んでみたくなったのが、この物語にふれるきっかけでした。
どんなあらすじか
ストーリーは、知的障害を持つ主人公が、脳手術を受け、天才として生まれ変わり、新しい人生を歩むことになります。これで幸せが手に入ると思っていたのにもかかわらず、実際は大きく違っていました。これまで仲間だと信じていた人たちに、だまされていたり、いじめられていたことにきづいたり、自分が母親に捨てられていた本当の原因を知ることとなります。
私は大学生から社会人になったころに、この小説を読んだのですが、夢に見ていた社会人生活と現実は大きくかけはなれていたものであり、何も知らない大学生の頃が本当に幸せに思えました。そういった部分は、主人公の心情と重なるところがあり、物語にどんどん吸い寄せられるように、深く読みこみました。
そして、主人公は知能は発達したたもの、周囲の人間との軋轢から、手術前には知らなかった孤独感を抱え、苦悩することになります。さらにある日、彼の脳手術と同じ手術を受け、知能指数が発達したねずみのアルジャーノンの異変に気付きます。
その調査を自ら行った結果、知能はいずれピークを迎えた後、退行することになること。そしてそれを止める術はないという結論にいたります。アルジャーノンは寿命が尽き、自分の行く末もわかってしまった主人公は、知能の退行の恐怖と向き合いながら、元にいた施設にもどっていきます。
この本を読んで
この物語を読んで、幸せの意味とは何だろうということを考えるようになりました。欲望を満たすことだけではなく、友達や家族や大切な人同士で当たり前だと思っていることに、とてつもない幸せがつまっていることに、気付けたと思います。
自分の人生は平凡で物足りないと感じている大学生や同じ年齢の社会人の方に、ぜひ一度読んで欲しいおすすめの本です。