図書館のおすすめ本ランキングでも多く取り上げられるような、
「自然科学」がテーマの本を紹介します。
読書感想文や自由研究の題材アイデアにはもちろん、教養のためのプレゼントにも良いかもしれません。
どの本も大人にも読みやすい内容になっています。
『ガリレオ工房の水のひみつ』
伊地知国夫・土井美香子
誰にでも起こる身辺の雑事に目を留めて、そこから見出せる自然科学の話題を、一般の人達にもわかるように論理的に展開していく。そういうエッセイを読むと、考えを積み上げていくことはとても面白いことだとわくわくします。この本は子供の頃に味わったそんな気持ちを思い出させてくれる楽しい本です。
科学写真家と作家が、水がどのような姿をしているのかを探求した本なのです。写真の解説を並べたものでもなく、物語の挿絵として写真が存在するのでもない。科学写真と物語が五分と五分の本なのです。受験を経て大学生になったものの、考える楽しみというものを忘れてしまった学生におすすめです。
『空気は踊る』
結城千代子・田中幸
花が好き、虫が好きという人はたくさんいるでしょう。科学の専門家にならなくても好きという気持ちがあれば身近な色々なところで、自然現象が見せてくれる面白さにワクワクする機会がたくさんあります。物理や化学だって身の回りのことから面白さを楽しむことができるんですよと紹介された本です。
空気がない状態“真空”を作り出すと、そのことで空気の存在がはっきりと浮かび上がってきます。ジャムの蓋を開けるとき、吸盤付きのフックに物をかけておくとき、物に対して空気がどれほど大きな力をかけているかを体感するでしょう。
空気の存在に気がつき、私たちがどのように生活に利用してきたのか、この本を読みながら「そうそう」と思いだし、生活の中であそこに書いてあったのはこのことか!と発見すると科学がぐっと近しいものに感じられるでしょう。教科書のどこで学んだことが関連しているのか、対照できる親切な付録が付いているので、社会人になった方でも、子育てで子供の宿題を見る時なんかにも役に立つでしょう。
『カラスの教科書』
松原始
カラスという鳥についてどういうイメージを持っていますか。人間を襲う、怖い、ゴミを散らかす、猫の死骸を漁る、少なくともカラスが好きだ可愛くてたまらないという人は私の周りではあまりいませんね。
しかし著者は断言しています。カラスは本当に面白い鳥なのであると。
この本はそういうカラスたちの本当の生活を浮かび上がらせることで、私たちがカラスに対して持ってるイメージの大半が、先入観にすぎないことを教えてくれます。そしてそのような先入観にとらわれずに、研究対象と正面から向き合うことが科学なのだと。カラスに人生をかけた科学者が持つそういった科学的な視線に気づかせてくれる一冊でもあります。