画家が絵を描くことを志そうとするキッカケってなんなんでしょうか。子供の頃から自然に筆を手に取るという人もいるでしょうが
多くは周りの環境によるものが大きいでしょう。
そんな絵に親しめるいい環境を描いた本を紹介しましょう。
『はじめてであう美術館 ことばでひらく絵のせかい』
著・ルーシー・ミクルスウェイト
どうぞ、美術館のとびらをあけてください。はじめは「かぞく」の絵です。どの絵の人たちも、今と違った服装をしています。でも、親と子ども、兄と弟、姉と妹、やっぱり似ていますね。
「野生の動物」には、本物そっくりなうさぎもいれば、模様のようなおもしろいカンガルーもいます。「とり」のところでは、日本人が描いた鷲が大空を飛んでいます。
どこからでも自由に入って、あなただけのお話を作ってください。
古今東西の絵をテーマごとに自由に選んで並べた絵本です。巻末に作品リストがあるので、もっと深く知りたい人は深入りをおすすめします。
『ジベルニィのシャーロット』
著・ジョアン・マックファイル・ナイト
シャーロットは、1892年にアメリカからはるばるフランスのジベルニィにやってきました。ジベルニィは、有名な印象派の画家のモネが住んでいるところです。シャーロットのおとうさんは画家で、印象派の手法を勉強するために家族そろって移り住んできたのです。
新しい生活は、わくわくする発見でいっぱいでした。シャーロットは、毎日のできごとを日記や手紙に書きました。当時の写質や絵はがき、印象派の芸術家たちの作品も、たくさん紹介されています。
フランス印象派の手法を学ぶために、美しいノルマンディの田園地帯をおとずれ、ジベルニィに移り住んだアメリカの芸術家たちがいたのです。実在の人物たちにヒントを得て、画家の娘の視点からジベルニィの暮らしを描く、おしゃれな本です。
『シルクの花』
著・キャロリン・マースデン
ノイのおばあちゃんが、シルクの傘にゾウの絵を描くと、生きているみたいです。次に、すばやくピンクのハイビスカスを描いて、花にとまっているチョウを描いておくれと、ノイにいいました。ためらっているノイに、おばあちゃんは体全体で描くんだよと教えてくれます。おばあちゃんは、傘に絵を描く画家として、タイの北部で有名です。でも、だんだん年をとって、寝ていることが多くなりました。ノイは、いつか自分もおばあちゃんのように傘に絵を描く仕事をしたいと、強く願っていました。
開発が人びとの生活を変えていく現実を見据えながら、一方では先祖から受け継いだ宗教や暮らしを大切にし、素朴に暮らす家族を温かく描いています。タイの食べ物や自然、風習が伝わってくる珍しい本です。
絵に限らず、子供の才能を伸ばすか否かは親が用意してやれる環境に大きく依存するのかもしれませんね。
そう、あなたの子供ももしかしたら大きく芽吹く蕾なのかもしれません。
ぜひ読み聞かせしてあげてください。