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【壮絶な過去 話】今では考えられない壮絶な幼少期を過ごした物語

現代の日本はとても平和で生きるか死ぬかといった貧困とは無縁の世の中になりました。
昨今、マスコミで取り沙汰されている貧困云々とはレベルが違う壮絶な状況が過去には確かにあったのです。
そんな時代に心をはせて現代の我々が置かれている僥倖を噛み締めてみませんか。

 

『氷石』

氷石 (くもんの児童文学)

著・久保田香里
天平9年夏、都には疫病が広がっていました。病にきく護符だとうそをいって川原の石を売っているのは、千広という名の少年。母は亡くなり、遣唐使船に乗って唐にわたった父はいつになっても帰ってきません。ひとりで生きていくために、心はすさみがちでした。
そんなとき出会った宿奈という少女は、千広の石を「氷石」と呼んで大切にしてくれました。木簡に字を書き、人を助ける手伝いをするうちに、千広は父のように学びたいと願います。ところが、宿奈が病にたおれてしまいました。
混乱の時代をたくましく生きる少年を主人公に、実在の人物や歴史的事実を巧みにおりまぜて描く歴史物語です。巻末に専門家による解説があり、発見が続く木簡や歴史的背景についての理解を助けてくれます。

 

『北へ行く旅人たち 新十津川物語1』

新十津川物語〈1〉北へ行く旅人たち (偕成社文庫)

著・川村たかし
奈良県の南部に十津川、北海道の空知支庁に、新十津川という地名があります。この2つの地名はぐうぜん似ているのではありません。

明治22(1889)年8月、奈良県十津川村は大豪雨で、たいへんな被害をうけました。
村の3分の1が家や畑を失ったのです。村人たちの多くは、当時開拓中だった北海道に移住することにしました。その人たちが開拓した新しい村が、新十津川です。9歳だったフキも、両親と家をなくし、兄と一緒に北海道にわたります。でも兄の照吉は...
新十津川物語全10巻。9歳のフキは、最終巻では80歳。子、孫、ひ孫があちこちで暮らしています。明治・大正・昭和をせいいっぱい生きてきた女性の物語です。

 

『黒い兄弟』

黒い兄弟〈上〉

著・リザ・テツナー
13歳のときでした。秘密結社「黒い兄弟」というとカッコよく聞こえますが、これは、親方から搾取されている煙突掃除の子どもたちがこっそりつくった組織なのです。貧しい農家の少年ジョルジョがわずかなお金で煙突掃除の親方に売られたのは、13歳のときでした。
スイスの8歳から15歳の子どもがイタリアの煙突掃除に売られたことは、歴史的事実なのです。体が小さいばかりに煙突に下からのぼっていって、ススを手でかき落とさなければならなかった子どもたち。かれらの戦いと友情の物語です。
「作者は、スイスの国立図書館から、もとになる記録を見つけたのだといいます。1830年ごろのできごとで、子どもたちが搾取されていた状況がよくわかります。

 

現代の私たちから見れば、当時の彼らは不幸なのかもしれないけど、でも、その中にあってなお幸せな部分は光り輝いているのです。
要は捉え方ひとつなのかもしれませんね。

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