推理小説の中で人は簡単に死んでしまいます。しかも病死、事故死ではなく
殺人というもっとも忌まわしい方法で。
活字の世界では慣れっこになってしまってますが、リアルに死体を想像しながら読むとゾワゾワ感が違いますよ。
『ある少女にまつわる殺人の告白』
ある少女にまつわる殺人の告白 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
著・佐藤青南
10年前長崎である少女が痛ましい死を遂げます。児童相談所の元所長家、小児科医、家族など、当時彼女と関わっていた人物たちの証言から少女の身に何が起きたのか明らかになっていきます。
やがて判明する隠された事実、予想もつかないラストに衝撃を受けるでしょう。児童虐待と負の連鎖が怖いと思える小説です。
重いテーマですがそれだけでは終わらなく、湊かなえの告白を思わせる手法で読み進むほどのめり込み、そしてまさかのラストでびっくりさせられるでしょう。
『屍鬼』
著・小野不由美
外場村の人口はわずか1300人。外部へのルートは一本の国道のみで文字通り陸の孤島と呼べる小さな村です。山間で発見された3人の村人の腐乱死体を皮切りに村人が一人ずつ死んで行きます。
疫病か殺人かそれとも何か恐ろしいことが進行しているのか。未知の恐怖が連鎖していく戦慄のホラー小説です。
人ならざるものの強さと人間そのものの強さが両方迫ってくる傑作です。前半と後半で人間に対する認識が180度変わるでしょう。
『夏と花火と私の死体』
著・乙一
9歳の夏休み私は友達のやよいに殺されます。私は弥生の兄、健に好意を寄せていて、それを彼女に伝えたからです。
死体を隠そうと奔走する弥生と健。当時16歳の乙一が書いた驚きのデビュー作です。
子供達の感情がやけにリアルで怖い小説です。怯える妹と冷静沈着な兄の行動に終始ハラハラします。
ラストはまさかのどんでん返しで、物語としての完成度の高さが半端ないです。
ドキドキしながらも最後はスッキリしたい、そんな話を読みたいと思っている方におすすめです。
ただ怨恨というだけではなく、人を殺すということは、納得できるだけの理由が必要です。
あなたは、これらの小説の“理由”に納得できたでしょうか。