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【絵画 勉強 本】絵を描くということの背景にあるもの。おすすめ本。

ときに純粋に絵を描くという行為を描いたもの以外にも芸術作品を語った作品はあります。
むしろ却って、違う方向から光を当てた物語の方が多くを語ることもあるケースが多いです。
そんな、普段とは少し違った方向から見た絵画をテーマにした本を紹介しましょう。

 

『ジョコンダ夫人の肖像』

ジョコンダ夫人の肖像

著・E・L・カニグズバーグ
世界で一番有名な絵は何かと問われたら、多くの人がダ・ヴィンチの「モナ・リザ」と答えるでしょう。不思議なほほえみを浮かべたこの女性のモデルは、フィレンツェの裕福な商人ジョコンダの夫人だといわれています。
なぜ女王ではなく、無名の商人の妻の絵をあのように描いたのでしょうか?そのなぞが、この物語で解き明かされます。
ダ・ヴィンチの弟子、うそつきで泥棒のサライをとおして、天才ダ・ヴィンチの仕事ぶりや細やかで複雑な感性を描き、読みごたえがある作品です。

 

『カラフル』

カラフル (文春文庫)

著・森絵都
天使が「おめでとうございます、抽選に当たりました!」と「ぼく」の魂にいった。大きなあやまちを犯して死んだぼくは、もう一度下界で、誰かの体を借りて過ごすチャンスを与えられたというのだ。
というわけで、ぼくは、見ず知らずの小林真の体に“ホームステイ”することになった。真は中学3年生、学校も家庭もどうしようもなく息がつまる。放課後、所属していたという美術部にいってみた。見よう見まねで油絵に向かったら、筆がどんどんすべっていく。ここでだけは、くつろげた。
ありえない設定で始まった物語が、あれよあれよという間に、現実の中学生を等身大に描いてみせて、最後まで読者を飽きさせません。

 

『雑草のくらし  空き地の五年間』

雑草のくらし (福音館の科学シリーズ)

著・甲斐信枝
この本の著者は、畑の跡地を5年間なにも手をかけないで見守り、絵をかきつづけました。
さいしょの年、なにもなかった空き地に芽を出したのは、メヒシバとエノコログサでした。草たちは、早く大きくなろうと、あるものは地面に広がって伸び、あるものは空へ高く高く伸びていきます。 そのあとも、いろいろな草が次から次へと、地面を占領しようとがんばっています。自然のいとなみをしっかりと見せてくれる絵本です。
私達はひとくちに「雑草」と呼んでしまうけど、雑草という名の草はないのです。著者は、ひとつひとつの草がどんなふうに持ち場を守るか、占領地を広げていくかをその草の特徴とともに描いて、それぞれの違いを際立たせています。これもひとつの芸術作品ではないでしょうか。

 

名作といわれる絵画が、なにも狙って描いてやろうと思って書かれたのではないことが分かりますね。
絵画展に行って絵を鑑賞する際にも、その絵が描かれた背景に気持ちをはせると、より違った楽しみ方ができるようになりますよ。

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