数奇な運命をたどった印象派の画家、ゴッホ。
独特の色彩感覚と抽象化された絵は時を超えて現代の人の心を離しません。
生前に功績が認められなくても絵画への情熱を忘れずにキャンバスにむかい続けたこと、日本絵画から影響を受けたことも日本でのゴッホの人気の一つかもしれません。
今回はゴッホについて書かれた本を紹介します。数ある解説書や小説のなかから、初心者におすすめのものを厳選しました。ゴッホの絵画とともにお楽しみください。
ファン・ゴッホの生涯 上・下
スティーヴン ネイフ(著) (国書刊行会)
ピューリッツァー賞受賞作家による二段構成の長編作品。
ゴッホの幼少時代や母親の存在、南フランスへの移住、ゴーギャンとの共同生活や謎に包まれた死に至るまで、ゴッホの全てが理解できる作品です。ゴッホの心の葛藤が痛いほど感じさせられます。
ゴッホの人生を深く理解したうえで作品を眺めると、そのときどきの作品がどんな心情で描かれたのか想像することができて、より一層楽しめます。
もっと知りたいゴッホ―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
もっと知りたいゴッホ―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
圀府寺 司(著) (東京美術)
薄いながらも、ゴッホの生涯と作品についてまとめられた内容が充実した一冊。
「ゴッホの手紙」から多く引用されているので、ゴッホ展やゴッホの映画を見て興味を持った方におすすめの一冊です。ゴッホの美しい絵画と、激しく揺れ動く悲しい孤独を垣間見ることができます。
ゴッホの手紙
ヴァン・ゴッホ (著) (岩波書店)
ゴッホが友人や家族にあてた手紙を集めた本。
絵が売れなくても描き続けた絵画への情熱やどんなことに興味を抱いていたのかなど、ゴッホの作品を読み解くヒントがたくさん見つかる本です。
色彩へのこだわりや、牧師になりたかったが画家になったゴッホなりの哲学、交流していた画家や生活スタイルを知ることができます。気性の激しい狂人ではなく、冷静で真摯に人生と向き合っていたということが感じられます。
ゴッホのうねるような曲線や個性的な色づかいは、眺めているとこちらの気持ちまで強く揺さぶられる作品が多くたいへん魅力的です。そんなゴッホの作品と同じように、熱にうかされるような感覚が再現されるような本です。長編だからと嫌煙せず、一度手にとってみてください。