2017年に105歳で亡くなられた日野原重明先生。
聖路加国際病院名誉院長として、大活躍された医師であり、様々な功績を残した優秀な医学博士でした。
成人病という名前から生活習慣病の予防に対する提言や、地下鉄サリン事件が起きた際には北欧の病院を視察した際に災害を予測して廊下や待合室に酸素配管約2000本を配置したり、広いロビーや礼拝堂を設けていたことにより640名の患者を受け入れてくれました。その人柄は温厚で素朴。
命の大切さを教えてくれる温かいまなざしであふれています。
生きかた上手
日野原 重明(著) (ユーリーグ)
90歳のときに雑誌「いきいき」の掲載をまとめた本。幸せな最期とは?死から目をそらさずに毎日を丁寧に暮らすことで世界は穏やかに美しく輝きだす。
生涯現役で医師を続け、看取りをおこなってきたからこそ語れる言葉たち。
「健康と健康感はちがう」「若いからこそ病気にかからないと命に対して傲慢になってはいけない」「医療の原点はぬくもり、手当てである」などたくさんの名言が収録されています。生きることについて、病について、死について考えさせられる潔く、清々しい気持ちになれる一冊です。
いのちの使いかた【新版】
日野原 重明(著) (小学館文庫)
日野原先生が考えてきた医療とは、患者に寄り添う方法とは。そんな気持ちで医療に携わってきたのか、与えられたいのちをどう使い、つなげていくのか。
「誰かのためにいのちを使う」という信念と謙虚で好奇心の強い先生だからこそ成し遂げられた医療だと思います。年齢にしばられずに日々をイキイキと生きる方法。キリスト教の思想を感じられますが、宗教の違いに関係なく受け入れられる積極性あふれるいのちの本です。
生きていくあなたへ 105歳 どうしても遺したかった言葉
日野原 重明(著) (幻冬舎)
悔いのない毎日を送るために。死の直前にインタビューされた先生の最期の本です。
人間の弱さ、死への恐怖、生きる喜び。慈愛に満ちた言葉の数々から真摯に生きてきた先生の生きざまを感じさせられます。心が弱ったとき、迷ったときに。前向きに生きるために、そっと背中を押してくれる本です。
闘病中の方や家族の介護をされている方、医療関係者や生きることに悩みを持っている方におすすめの本です。優しい気持ちになれ、他人を受け入れること。そこから新しい「生」がはじまるのかもしれません。日野原先生のご冥福をお祈りいたします。