子どものころ、木はもっと身近にあったと思います。大人になった今では木は遠くから眺めるだけで、ふと目にした木々の葉の色に季節の移り変わりを感じることがある程度です。
木は人間よりも長く生きていることから神が宿ると昔からいわれており、私たちが木をみるとリラックスした気分になるのは、木という大きな存在が自然の偉大さや自分が守られているような感覚になるからかもしれません。
今回は、木を題材にした絵本を紹介いたします。お子さまの読み聞かせ~、ちょっとお疲れ気味の大人の方におすすめの絵本です。
木のうた (四季のファンタジー 1)
木島 始(著) (佑学社)
ハンガリー出身で建築家・画家として活躍した著者の絵本。
素朴で温かみを感じるイラストからは木の香りがそびえたってきます。祖父と孫の会話による大自然や生きとし生けるものへの賛歌に心が洗われます。繊細ながらも生命力を感じさせるイラストを眺めているだけでも、ほっとできる絵本です。
おぼえていろよ おおきな木
佐野 洋子(著) (講談社)
家の前にあるおおきな木。おじさんは、木が邪魔だと切り倒そうと奮闘します。そのおおきな木がなくなったとき、おじさんは失った大切なものに初めて気づかされるのです。
おじさんがおおきな木に怒っていた理由は?本当に大切なものは何だろう?大人も子どもも当たり前のように存在していて、ないがしろにしていた大切なことに気づかされる良書。心がささくれだっているときにも読んでほしい絵本です。
大きな木のような人
いせ ひでこ(著) (講談社)
淡い色彩の水彩画と詩のような静かで美しい文章。
フランスの植物研究者と日本からやってきた少女との出会いを描いた絵本です。樹齢400年のアカシアがそっと見守る中、四季の移ろいを感じさせてくれる植物たちの生命力が生き生きと描かれていて、そっと大切にしまっておきたい癒される絵本です。
自然を愛する人は心が優しい人。優しい気持ちになりたいときは、自然に触れると良いかもしれません。ほっとしたいひとときに是非手にとってもらいたい絵本です。