大人の背中を押してくれる絵本
大人になってしまうと何か新しいことを始めるのが面倒になってしまったり、悪いと思っていても見て見ぬふりをしてしまうという人が多いようです。
でも、子どもの頃に思い描いていた自分はそんなはずではなかったのではないでしょうか。
何もかもが新鮮で身軽だったあの時。子どもだった自分が現在の自分の背中を押してくれるような絵本を紹介いたします。心の洗濯にどうぞ。
つなのうえのミレット
エミリー・アーノルド マッカリー (著) (文溪堂)
19世紀のパリが舞台。宿屋の娘ミレットは旅芸人のベリーニの綱渡りを目にし、弟子になることに。ところが、ベリーニは心に傷を負っており引退を覚悟していて…。
ミレットの純粋な好奇心に励まされて恐怖を克服するベリーニ。ふたりのつなわたりの場面とパリの夜景に胸がいっぱいになり、すべての再出発を応援してくれる絵本です。1993年度コルデコット賞、1992年度ニューヨークタイムズ・ベストイラスト賞受賞作品。
森のかいぶつドギモヌキ―ポリーヌちゃんがんばる
ゲオルグ・ハレンスレーベン (著) (ブロンズ新社)
大人気絵本シリーズ「リサとガスパール」の作者による冒険物語。
ちいさなキノボリケミミイタチのポリーヌちゃんは少し大きくなって初めて木から降りることを許されます。木の上から見た世界とは違って、ちっぽけなポリーヌちゃんより大きなものばかり。
そんなとき、コゾウのラブシウスというお友達ができたのですが、なんと人間にさらわれてしまいそうに…。ポリーヌちゃんがお友達のためにとった行動とは?
ちいさな体に似合わず勇気に満ち溢れた姿に思わず拍手を送りたくなる絵本です。
魔法のことば―エスキモーに伝わる詩
魔法のことば―エスキモーに伝わる詩 (日本傑作絵本シリーズ)
柚木 沙弥郎 (イラスト) (福音館書店)
イヌイットに伝わる言霊に関する詩。
言葉がまだ音だったころ、動物と人間が同じものだったころ、言葉に生命を持ち出したころ。文字がなかった時代、口承で伝えられた詩は不思議な力を持っていたようです。言葉が記号化してしまった現在では、自然と人間の関わり方が大きく異なってしまい複雑になってしまったのかもしれません。
ダイレクトな表現がすとんと胸に落ち、生命のあるべき姿を再確認できる絵本です。
どの絵本もシンプルなストーリーなのに、ずっと心の琴線に触れてくれる作品です。原点に戻りたい大人におすすめです。