ほんのむし

読書はみんなのサプリ

【フランス印象派 おすすめ本】フランス印象派の作曲家たち

 光がさしこむまぶしさ、そよ風が吹き抜けていく揺らぎ、雨の音。自然界のきらめきと人の心を繊細にとらえたフランス印象派の芸術家たち。美術界ではモネの絵が有名です。

それまでの象徴主義の芸術とは違い、自由に戸外で庶民や自然に焦点を当てて描かれた作品たち。音楽でも同じ流れを汲んでいて、情緒に富んだ美しいクラシック曲が愛されていた時代です。今回はフランス印象派のなかでも特に有名な作曲家についての本を紹介いたします。クラシック音楽ファンの方はもちろん、曲を知らなくても楽しめる作品です。儚い美しさに満ち溢れた光の世界をご堪能ください。

 

ドビュッシー―想念のエクトプラズム

ドビュッシー―想念のエクトプラズム (中公文庫)

 青柳 いづみこ(著) (中央公論新社)
 「アラベスク」など美しい響きをもちながら、一か所どこかに崩れた和音が特徴的なドビュッシー。完成された造形的な美ではなく、手のひらからさらさらとこぼれ落ちそうな砂のような儚さか魅力的です。あまり知られていないドビュッシーの生涯とともに、未完成の作品の楽譜も掲載され、神秘思想や影響を受けた文学などについても触れられています。自らの音楽を「白でも黒でもない、ベラスケスの灰色」と称した色彩と感覚が融合されたドビュッシーの曖昧模糊な美しさの原点を知ることができます。

 

卵のように軽やかに: サティによるサティ

卵のように軽やかに: サティによるサティ (ちくま学芸文庫 サ 32-1)

 エリック・サティ(著) (筑摩書房)
 クラシック音楽の異端児と呼ばれるサティ。音楽家ではなく音響計測家と名乗るほど、コケティッシュで皮肉たっぷりの文章はユーモアにあふれていて、サティの音楽を知らない方も面白く読み進めることができます。変人扱いされているサティの詩作、戯曲、楽譜に書き込まれた言葉が集められたエッセイ集。ささやかな日常生活を不条理とユーモアでくるんでくれる軽やかな作品です。イギリスユーモアがお好みの方にもおすすめの一冊。

 

ラヴェル

 

ラヴェル

 ジャン・エシュノーズ(著) (みすず書房)
 「ボレロ」をはじめ、優美ながらも力強い印象の曲が多いラヴェル。実は低身長のため軍隊に入れず、大きなコンプレックスを抱いて生きてきたそうです。ラヴェルの晩年10年が描かれた小説。記憶障害に苦しみながら、孤独で悲痛な最期を遂げた富の人。音楽的な文章の底に流れる詩的なリズムと倦怠感。美しく流れるラヴェルの音楽を聴いているようです。モーリアック賞受賞作品。

 

 作曲家がどのような表現をしたかったのか、それは本人にしか分かりませんが、時代を超えていろんな演奏家の方がその意思を受け継いで表現してくれています。動画サイトで演奏の違いを聞きくらべ、作曲家の人生に照らし合わせてみるのも音楽関係の本を読むときの楽しみとしておすすめです。

Copyright © ほんのむし All Rights Reserved.

Privacy Policy