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【皆川博子 おすすめ本】美しい日本語に触れたい方、新しい世界観に触れたい方に

皆川 博子さんのおすすめ本3選

 直木賞や吉川英治文学賞を受賞し、多くのファンを読者の心をつかむ皆川 博子さん。
児童作家としてデビューした後、推理小説やサスペンスに転向したという異例の経歴の持ち主です。
 推理小説以外にも、中井英夫さんやや赤江瀑さんに影響を受けた幻想文学やロマン小説、一般的ミステリーなど書かれており、様々なジャンルの作品を執筆されています。
 80歳を超えた現在でもどんどん新作を発表して私たちを楽しませてくれる皆川 博子さん。今回は数ある著作のなかから、おすすめの3冊を紹介いたします。
 美しい日本語に触れたい方、新しい世界観に触れたい方におすすめしたい唯一無二の作品です。是非手に取ってみてくださいね。
 

開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―

開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ文庫 JA ミ 6-4)

 皆川 博子 (著) (早川書房)
 18世紀のロンドンを舞台にした骨太のミステリー作品。500ページを超える長編で登場人物の数が多いのですが、どの人物もキャラクターが立っているのですぐに覚えることができます。
 複雑な人間関係と不可解な連続殺人事件。外科医ダニエルと弟子たちが当時の先端科学だった解剖学を駆使して事件の謎に挑んでいきます。
 貧富の差や産業革命による環境汚染、解剖への偏見など18世紀イギリスの情景を知ることができ、不気味な雰囲気のなかにもユーモアがあるので、あっという間に夢中で読み終えてしまいます。
 第12回本格ミステリ大賞受賞作品です。読後感は晴れ晴れ多気持ちになるので、長編だと思って嫌煙せずに手に取ってみてくださいね。

 

薔薇忌

薔薇忌 (実業之日本社文庫)

 皆川 博子 (著) (実業之日本社)
 舞台芸能に関わる男女を描いた幻想的短編が7編収録されています。第三回柴田錬三郎賞受賞作品です。
この本自体が舞台のセリフのように会話で続いていくので、目の前で上演を見ているかのような現実と非現実を行き来するような妖しくも濃密でエロチックな世界が広がります。
 どこかですれちがってしまった愛、醜さと美しさ、明るさと暗さ。対比するものが融合し、ひとつの世界を創りあげていく様子に緊張感を覚えながらも食い入るように見入ってしまいます。
 端正な文章のなかに知性を感じさせられる高級耽美小説です。

 

少女外道

少女外道 (文春文庫)

 皆川博子 (著) (文藝春秋)
 甘美で幻想的な7編の短編が収録されています。
 第二次世界対戦の前後に生きた女学生たちのモノローグという形式をとり、激動の時代を生きた少女たちの儚さと運命に翻弄されていく姿が描かれています。
 生と死、戦争という重いモチーフなのに上品な文章はみずみずしく、濃厚な世界観にドキドキしてしまいます。
 著者が70歳を超えてから執筆された作品だそうです。背徳感が漂う作品ですが、艶やかな文章なので女性にもおすすめです。

 

 どの作品も他の作家さんには見られない純度の高い作品揃い。純文学を読んでいるようで堅苦しくなく、どの言葉にも美しい魂が宿っているようです。
 クラシック映画が好きな方、ゴシックミステリーが好きな方にもおすすめです。

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