「食べる」ことがテーマの本を集めました
おいしいものを食べたい、お腹いっぱい食べたいという人間の本能のひとつ、食欲。食欲がある・なしに関わらず、生きていく以上「食べる」という行為は避けては通れません。
動物たちは生命をつなぐためにたべますが、「食文化」という言葉があるように人間にとって食べるということはただ栄養をとるためだけではありません。
食事をすることは生命をつなぐこと以外にも、人と人とのつながりを深める役割もあります。
来る日も来る日も当然のように食事を食べる、食べたいものを吟味するーそんなことに疑問を持ったことはありませんか?
今回は「食べる」ことがテーマの本を集めました。グルメ大好きな人も、食べることにあまり関心がないという方も手に取ってみてくださいね。
神々の食
池澤 夏樹 (著) (文藝春秋)
沖縄の食文化にまつわるエッセイ。
大地の神々から食物をいただく敬意を抱いている「食」に関わる沖縄の人々が紹介されています。美しい空と海に囲まれて独自の文化を築き上げてきた沖縄。
自然の恵みである生産物を紹介してくれ、愛情をもって調理し、感謝をして食べるということ。単なるグルメ本ではなく、食べることと生きることについて考えさせられる一冊です。
知恵のある・和の家・和の食・和の暮らし
魚柄 仁之助 (著) (主婦と生活社)
東京で15年古道具屋を経営し、質素倹約ながら心豊かに暮らしている著者。
電気やガスが通っていて当たり前の現代ですが、昔の和の家にも良いところはたくさんありました。
昔の民家、回転扉の調味料棚、囲炉裏の写真は若い人には新鮮でモダンに見えることでしょう。
保存食のために野菜や魚を干したり、手間暇をかけて知恵を使って楽しく暮らすことが毎日に彩りを与えてれるのかもしれません。
食べない人たち
秋山 佳胤 他(著) (マキノ出版)
「一日一食」など食べすぎないことが健康に良いと注目を浴びていますが、自ら進んで「食べない」ということを選択した人たちがいます。
食べないと健康に悪いというのは思い込みにすぎないのかもしれません。
不食と絶食は違います。絶食は食べたかったら食べるという独自のスタイルで修業ではありません。
この本に登場する方々は、宗教にはまっているわけでもなければ特殊な考え方を持った人ではありません。作中からは穏やかで争いを好まない人柄が感じさせられます。実践するかしないかはともかく、「食べる」ということに疲れた人におすすめの本です。
お腹がすいていないのに食べてしまう、ついつい習慣で暇さえあれば何かを食べたいという欲求は生物学的には不自然なのかもしれません。
食材を獲得するにも苦労した昔と違い、今は簡単にすぐ食べることができます。
無意識に食べるのではなく、自分なりに「食べる」ことはどういうことなのかを考えてみてはいかがでしょうか。