食事は毎日楽しむもの。
人間なら誰でも持っている食欲を満たすだけではなく、特別で楽しい時間を提供するのもシェフや飲食業に携わる方には必要とされるスキルです。
味覚という人によって異なる感覚だけではなく、季節にあったものや目で楽しめるものなど、様々なスキルが要求される職業です。今回は、シェフや飲食業の方におすすめの本を紹介いたします。
新たな刺激が創作意欲をかきたててくれるような本です。
シェフを「つづける」ということ
井川 直子 (著) (ミシマ社)
シェフになるためにイタリアに渡った世界中の若者たちが、不景気や厳しい修行生活、人生の壁にぶつかって暮らしていく様を描いたノンフィクション作品。
名もない若者たちがミシュランガイドに掲載される一流のシェフになるまで、個性も目的も料理という表現方法も異なるシェフたちのプロフェッショナルな言葉が心に響く一冊です。飲食店で10年続く店はなかなかないそうで、つづけるということがどういうことか、どの道でもプロへの道は高く険しいと思わされます。
NYの「食べる」を支える人々
アイナ・イエロフ(著) (フィルムアート社)
入れ替わりの激しいニューヨークの飲食店。
一流シェフから露店、カフェの店主、パティシエ、セレブ専用ケータリング、寿司職人、肉屋、牡蠣の殻むき職人にいたるまで、名もない職人たちが貪欲ながらも強靭に「食べる」ことのドラマを繰り広げています。
移民の方のインタビューもあり、多種多様な食についてのインタビュー記事は、活気に溢れた「読んで楽しめる」ニューヨークへの旅切符です。
世界一のレストラン オステリア・フランチェスカーナ
池田 匡克(著) (河出書房新社)
2016年に世界ベスト・レストラン50、第一位に輝いたイタリアのレストラン。イタリア人シェフ・ボットゥーラさんの魂がこもった料理と哲学を味わえ、「偉大なる12皿」と呼ばれた代表的な料理のレシピも掲載されています。
眺めているだけでうっとりとする芸術的な料理。料理人の方はもちろん、グルメの方にも読んでいただきたい本です。
チェーン店が増えるなか、自分だけの味や料理哲学を持って腕をふるってくれる料理人はどのくらいいるのでしょうか。真心がこもった料理を食べると、胃袋だけではなく心も満たされるもの。大切な一皿に出会えそうな本です。