本屋大賞
本屋大賞は「いま書店で手渡される熱」を、そのままランキングにした賞だ。迷ったときは、まず受賞作一覧の大賞と、近年(2021〜2025)の上位作から拾うのが外れにくい。ここでは入口の10冊を、読後の手触りが残る形で先にまとめる。 本屋大賞の特徴 迷った…
美術館が好きなのに、作品の前で言葉が出てこない日がある。一色さゆりの小説は、その沈黙を責めずに、絵の裏側にある生活や記憶へと連れていく。ミステリーの快感も、静かな回復も、どちらも欲しい人に向けて10冊をまとめた。 一色さゆりとは?──“現場の匂…
川上弘美とはどんな作家か 川上弘美は、1958年生まれの東京出身の小説家だ。御茶の水女子大学理学部で生物学を学び、理系の目と、どこか浮遊感のある文体を両方ともつ稀有な存在でもある。「神様」でデビューしパスカル短篇文学賞を受け、「蛇を踏む」で芥川…
就活・パパ活・配達アプリ・地方創生・人類滅亡。どれもニュースやSNSで見かける言葉なのに、結城真一郎の小説の中では、いつの間にか背筋が冷たくなる「物語の入口」に変わっていく。 ここでは、デビュー作から最新作まで、結城作品の中でもとくに押さえて…
仕事に行きたくない朝や、なんとなく世界から置いていかれているような夜に、津村記久子の小説をひらくと、肩の力がふっと抜ける。しんどさはそのままあるのに、なぜか笑えてくるし、「ここで生きていてもいいのかもしれない」と思えてくる。不思議なやさし…
川上未映子の小説を開くとき、人はだいたい少し疲れている。自分の身体のこと、家族のこと、お金のこと、働くこと、女であること、人を傷つけてしまったかもしれない記憶……そういう「うまく言葉にできない重さ」を抱えたまま、ページをめくることが多いはず…
毎日をなんとかやり過ごしているだけなのに、仕事も人間関係もじわじわ自分を削ってくる――。そんな「今」を生きる感覚を、小説の形で掬い上げてくれるのが安壇美緒だと思う。音楽教室への潜入調査から、女子校の友情、ブラック職場、そしてSNS炎上まで。現代…
誰かが死ななければ全員が死ぬ、犯人を見つけてはならない、秘密結社に財宝探し──夕木春央の物語は、いつも「ルール」が人の心をむき出しにしてくる。ページをめくるたびに、正しさの基準がゆらぎ、自分ならどうするかを問われ続ける読書になる。 ここでは、…
呉勝浩の小説を読むと、まず「音」が残る。銃声や爆発音だけじゃなく、怒鳴り声、SNSのざわめき、誰かのすすり泣き、そして静かに落ちる雪の音。その全部が、読み終えたあともしつこく耳の奥で鳴り続ける。 どこから読み始めればいいか迷っているなら、まず…
夜の仕事や性のことを、ワイドショーの決まり文句やネットの偏見ではなく、当事者の言葉で知りたい。そんなとき鈴木涼美の本は、きれいごとと自虐のあいだを揺れながら、現代日本の「生きづらさ」をむき出しのまま見せてくれる。 鈴木涼美とは? 読み方ガイ…
シリアスで重たいミステリーにちょっと疲れてきたとき、東川篤哉の小説を開くと、肩の力がふっと抜ける。それでもトリックはきっちり本格派で、ラストで「やられた」と声が漏れる。その両立こそが、彼の作品が長く愛されている理由だと思う。 東川篤哉とは?…
歴史小説もSFもファンタジーも、全部まとめて読み倒したい時期がある。冲方丁の本を並べると、その欲望が一気に満たされるどころか、「人間ってここまで物語を作れるのか」と、ちょっと笑ってしまうくらいだ。江戸の暦づくりからサイバーパンク都市、平安宮…
物語そのものがひっくり返り、数式やプログラムが登場人物のようにしゃべり出す――円城塔を読み始めると、ひとの頭の中にある「小説」の定義が静かに書き換えられていく。難解だと噂を聞いて身構えていたのに、ページをめくる手がなぜか止まらない、そんな読…
伊藤計劃とはどんな作家か 伊藤計劃のおすすめ本7選 1. 『虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)』 2. 『ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)』 3. 『The Indifference Engine (ハヤカワ文庫JA)』 4. 『メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット (角川文庫)』 5. 『屍…
不老不死のSFから、感染症パニック、愛と転落の人間ドラマまで。山田宗樹の作品を読み進めていると、「極限に追い込まれたとき、人はどんな選択をするのか」という問いに何度も突き当たる。どの物語にも、決して特別ではない「ふつうの人」が、時に国家レベ…
市川拓司という作家の魅力 市川拓司おすすめ作品レビュー 1. いま、会いにゆきます 2. そのときは彼によろしく 3. 恋愛寫眞 もうひとつの物語 4. Separation 5. 弘海 6. 世界中が雨だったら 7. ぼくの手はきみのために 8. ねえ、委員長 9. MM(エムエム) …
歴史小説を読み慣れている人でも、飯嶋和一の作品世界に踏み込むと「これは別物だ」とすぐに気づくはずだ。血の匂い、土の重さ、飢えや寒さの痛覚まで伴った物語が、ページの向こう側からじわじわと滲んでくる。 島原の乱、隠岐騒動、雷電為右衛門、鄭成功――…
雫井脩介とはどんな作家か おすすめ作品10選 1. 犯人に告ぐ 2. 検察側の罪人 3. 望み 4. 火の粉 5. クローズド・ノート 6. クロコダイル・ティアーズ 7. 霧をはらう 8. ビター・ブラッド 9. 栄光一途 10. 銀色の絆 関連グッズ・サービス まとめ FAQ(よくあ…
殺人や失踪、嫉妬や執着といった、人間の「見たくない部分」ばかりを見せられているはずなのに、最後の数ページでふっと胸の奥が温かくなる瞬間がある。沼田まほかるの小説を読むと、いつもそんな不思議な読後感だけが体のどこかに残る。 いわゆる「イヤミス…
日常から半歩だけずれた場所で、ひっそりと呼吸しているような物語を書き続けてきたのが小川洋子だ。声を荒げることなく、静かな文章で人間の残酷さと優しさの両方をそっと机の上に置いてくる。 ここでは代表的な20冊を、入りやすい順番やテーマも意識しなが…
生きる意味がふっとわからなくなる夜に、川村元気の物語はやたらと刺さる。死や別れ、喪失やお金、仕事や信仰といった重いテーマを扱いながら、読み終えたあとには必ず、もう少しだけ明日を生きてみようと思わせてくれる力がある。この記事では、小説・対話…
恋愛小説は好きだけれど、甘いだけの物語にはもう満足できない。そんなときにまっ先に思い浮かぶのが、中田永一の名前だ。思春期のぎこちない恋心、他人には言えないコンプレックス、言葉にならない「好き」が、静かな文体の底でじわじわと熱を帯びていく。 …
戦争小説からビジネス小説、寓話、ノンフィクションまで、百田尚樹の本はいつも「一気読みしてしまうかどうか」が勝負どころになる。ページを開くと、勢いのあるセリフと分かりやすい構図に引き込まれ、読み終わったあとに賛否も含めて何かしら強い感情が残…
ニュースの見出しの向こう側にいる人間の顔や声が気になるとき、塩田武士の小説は強い光になる。未解決事件、誤報、誘拐、組織の論理……重たいテーマを扱いながらも、登場人物のささやかな生活や感情を丁寧にすくい上げてくれるからだ。この記事では、社会派…
強烈なユーモアと、胸の奥をじわじわ締めつけるような痛み。そのどちらもを引き受けながら、「それでも生きていく人間」の姿を描き続けてきたのが西加奈子だ。家族小説から恋愛、青春、そして自身の闘病を綴ったノンフィクションまで、ジャンルを越えて読者…
忙しい日々の中で、ふと「やさしい物語に包まれたい」と思うときがある。そんなときに村山早紀の本を開くと、肩の力がふっと抜けて、世界が少しだけ信じられるようになる。書店やコンビニ、カフェや古いホテルといった身近な場所に、静かな魔法とささやかな…
絵を見るときの心の揺れや、誰かの一言に人生を変えられてしまう瞬間を、小説というかたちでここまで鮮やかに描ける作家は多くない。原田マハの物語を読んでいると、美術館の静けさや、地方の田んぼ道、沖縄の海風までもが、自分の記憶の風景みたいに胸の奥…
ゾンビ×本格、予言×論理、ジュブナイル×オカルト……。今村昌弘の作品は、どれも「そんな組み合わせ、アリなのか」と驚かされながら、最後にはきっちり論理で決着がつく。その感触に一度ハマると、次の一冊を求めずにはいられない。 ここではデビュー作『屍人…
骨太な警察小説も、人の弱さに寄り添うヒューマンドラマも、どちらも同じ熱量で書き切ってしまう作家がいる。柚月裕子の小説を読み続けていると、「正義」とか「家族」といった大きすぎる言葉が、急に自分の生活のすぐ隣に引き寄せられてくる感覚になる。 こ…
日常の小さな違和感が、ある瞬間を境に一気に崩れていく。その「境界線」を描かせたら、芦沢央ほど容赦がない作家はそう多くない。ホラー、ミステリ、家族小説…どんなジャンルでも、最後に残るのは人間の心のひずみと、その先にあるかもしれない救いだ。ここ…