2025-12-17から1日間の記事一覧
中山可穂を読むと、「好き」という感情が、きれいな言葉だけでは済まないことを思い出す。惹かれるほどに壊れていく、その速度すら美しい。ここでは入口になる20選で並べる。 中山可穂とは? 読み方ガイド おすすめ本20選 1. 白い薔薇の淵まで (集英社文庫) …
紀州熊野の「路地」と呼ばれる集落から立ち上がり、血と土地と物語を極限まで書き抜いた作家が、中上健次だ。被差別部落に生まれた自身の来歴を真正面から引き受け、暴力と性愛、神話と路地の生活を一体化させた小説群は、今読んでもまったく古びない。この…
三島由紀夫は、読後に「言葉が身体に残る」作家だ。初めてでも迷子にならないように、入口の小説から戯曲、評論まで、いま手に取りやすい主要作を20冊まとめて案内する。読む順番が変わるだけで、同じ作家がまったく別の顔を見せる。 三島由紀夫とは?──美を…
人を信じたいのに信じきれないとき、自分の弱さにうんざりしてしまうとき、三浦綾子の小説は、痛みの奥にかすかな光を見せてくれる。信仰文学という枠を越えて、家族、仕事、恋愛、歴史のただ中で揺れる人間の心を、これほど徹底して描いた作家はそう多くな…
ゲーム世代の青春から、ベランダの草花、そして震災後の声なき声まで。いとうせいこうの本をまとめて読むと、「日本で生きる」という感覚そのものが少しずつ書き換えられていく。笑えるのに胸が重くなったり、ふとベランダの鉢を撫でたくなったり、ニュース…
美術館が好きなのに、作品の前で言葉が出てこない日がある。一色さゆりの小説は、その沈黙を責めずに、絵の裏側にある生活や記憶へと連れていく。ミステリーの快感も、静かな回復も、どちらも欲しい人に向けて10冊をまとめた。 一色さゆりとは?──“現場の匂…
川上弘美とはどんな作家か 川上弘美は、1958年生まれの東京出身の小説家だ。御茶の水女子大学理学部で生物学を学び、理系の目と、どこか浮遊感のある文体を両方ともつ稀有な存在でもある。「神様」でデビューしパスカル短篇文学賞を受け、「蛇を踏む」で芥川…
就活・パパ活・配達アプリ・地方創生・人類滅亡。どれもニュースやSNSで見かける言葉なのに、結城真一郎の小説の中では、いつの間にか背筋が冷たくなる「物語の入口」に変わっていく。 ここでは、デビュー作から最新作まで、結城作品の中でもとくに押さえて…