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【感覚 研ぎ澄ます 本】感覚が研ぎ澄まされる本、おすすめ本まとめ

 何かを純粋にあるがままにとらえること、感じ、受け入れること。物事を理解するには自分のフィルターを通してしか判断できず、個人の体験によって受け入れ方も違うので邪念が入ってしまうもの。

恐いものは避けたいし、なるべく分かりやすく答えが分かるものや、予想がつくものに人はすがりついてしまいます。しかし、苦しいときこそ、受け入れることによって始まること、見つめることによって導かれるような人生の答えを得るときもあります。そんなときのために、他者を、自分を純粋に受け入れられるような感覚が研ぎ澄まされる本を紹介いたします。

 

昏い水

昏い水 (新潮クレスト・ブックス)

 マーガレット ドラブル (著) (新潮クレスト・ブックス) 
 肉体の衰え、日に日に近づいていく死。高齢化社会を迎えている日本では、毎日テレビで声高に健康長寿ブームが叫ばれていますが、死までの道のりをまっすぐとらえることによって、ある種の開き直りというか自由さを手に入れる老人たちの底抜けた明るさがにじみ出る老人小説。そう、いくつになっても悩みの種はつきず、前向きにその日がくるまで走り続けるのだ。老いることによる恐怖という感覚がひとつずつ解消されていく英国的ユーモアにあふれる物語。いつまでも自分らしく生きていたいと思わせてくれる一冊です。

 

夜のみだらな鳥

 

夜のみだらな鳥 (フィクションのエル・ドラード)

 ホセ ドノソ (著) (フィクションのエル・ドラード) 
 「百年の孤独」と並ぶラテンアメリカ文学の最高傑作。打ち寄せる波のように入れ替わる時間軸、歴史、神話、自己と他者。現実か妄想か。そこに流れる混沌とした感覚の渦。阿部公房や幻想文学がお好みの方におすすめの最高傑作です。シュールな世界観に圧倒されます。死ぬまでに読みたい一冊リストに入れたい感覚の渦に巻き込まれる作品です。

 

終わりの感覚

 

終わりの感覚 (新潮クレスト・ブックス)

 ジュリアン バーンズ (著) (新潮クレスト・ブックス) 
 ブッカー賞を受賞した映画「ベロニカとの記憶」の原作。若かったころの過ち、自己欺瞞、裏切り。年老いた主人公が過去を遡りながら、自分の記憶と他者を傷つけたことによる自責の念に駆られる。昔の彼女と付き合いだした親友の自殺という設定は太宰治の「こころ」を彷彿させ、終わりと再生の感覚のずれ、過去というつかみどころのない感覚が、物語に奇妙なひずみを感じさせ、読み終わったときには熱く静かな覚悟を抱くことができました。

 

 女のカンや第六感などの「直感」も感覚の一つでしょう。言葉にできないけれど何かを感じる。論理的な思考も大切ですが、そういう野性的な感覚に耳を傾けると、案外心配していたことも難なく切り抜けたりするものです。ついつい頭でっかちになってしまう人にもおすすめの本です。

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