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【穏やか 本 生活】ささやかな日常を描いた、おすすめ小説

 劇的な人生ではないけれど、どこにでもある誰もが共感するような日常のヒトコマ。小説では描かれることが少ない平凡かつ穏やかで、ときには涙を流すこともあるような人生。

そんな中にもドラマは確かに存在しています。今回は、多くの人が思わず頷いてしまいそうな日常を描いた小説を紹介いたします。

 

オリーヴ・キタリッジの生活

 

オリーヴ・キタリッジの生活 (ハヤカワepi文庫)

エリザベス ストラウト (ハヤカワepi文庫)
 静かで平和な町、アメリカ北東部の港町が舞台の短編小説。気分屋でへそまがりの元数学教師のオリーヴが、小さな町で歳を重ねる様子を13人の視点から描き出している。

夫婦の不和、親子間や姑との確執、不倫や自殺願望、夫の介護、老いらくの恋と誰にでも起こりうる日常の問題。年齢を重ねるうちに時の流れが変わっていく不思議な感覚。ピュリッツァー賞受賞作品。

 

メモリー・ウォール

 

メモリー・ウォール (新潮クレスト・ブックス)

アンソニー ドーア(著) (新潮クレスト・ブックス)
 記憶をなくしてしまう日。そんな日がいつか自分にも訪れるかもしれない。認知症を患い、大量の記憶が保存されたカードリッジと共に過ごす老女を描いた表題作のほか、国も状況も違う物語が6編収録されています。記憶は事実と異なり主観を伴うもの。

それ故に美しく、時に哀しみを誘う。けれど、記憶は無駄なものではなく、未来への希望につながるもの。日々の記憶を大切に抱いていたいと思わされる一冊。O・ヘンリー賞受賞作品です。

 

オスカー・ワオの短く凄まじい人生

オスカー・ワオの短く凄まじい人生 (新潮クレスト・ブックス)

 ジュノ ディアス(著) (新潮クレスト・ブックス)
 ドミニカ出身でRPGとSFが大好き。デブでオタク、女の子にもてないオスカーが繰り広げる凄まじい人生。政治とポップカルチャーを交えた独特の語り口、ラテンアメリカ文学を思わせるマジックレアリズムを感じさせる骨太なストーリー。

オタク文化から一家の歴史まで遡ってしまう劇的なストーリーです。全米批評家協会賞、ピューリッツァーを受賞し、英米でベストセラーとなった作品です。

 

 「事実は小説よりも奇なり」という通り、日常のなかにこそ面白い物語が隠れているものかもしれません。誰かの人生を盗みみたような感覚になる小説です。

 

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