日本語に「言霊」ということばがある通り、昔からことばには魂が宿っていると考えられてきました。
ことばの乱れ、日本語の乱れなど指摘されることがあり、日常生活でぞんざいな言葉づかいをする人が増えています。言語学という学問のジャンルがある通り、ことばのひとつひとつには歴史があり、決しておろそかにしてはいけないもの。
今回は、ことばについて改めて考えさせてくれる本を紹介します。
翻訳できない世界のことば
エラ・フランシス・サンダース(著) (創元社)
ことばの背景にはその国ながらの文化背景や価値観の違いが感じられるもの。世界中から集めたひとことでは翻訳できない世界のことばを集めた絵本です。日本語からは「ボケっと」や「詫び寂び」「木漏れ日」「積ん読」が登場。ほんわかした挿絵とともに見開きで解説がついているので、のんびり眺めているだけでも楽しい絵本です。ニューヨークタイムズ・ベストセラーとなりました。
日本の大和言葉を美しく話す―こころが通じる和の表現
高橋 こうじ(著) (東邦出版)
日本語は漢語・外来語・大和言葉があります。日本人だからこそ使いこなしたい美しい大和ことば。奥ゆかしい表現、余韻を残した優しさや上品さ。日本に生まれてよかったなと思わさせてくれる本です。単語帳のようなつくりで、日常的に、手紙やプレゼンテーションで使う大和ことばなどジャンル分けされているので、無理のない範囲で美しいことばを使うことを意識させてくれます。
美人の日本語
山下 景子(著) (幻冬舎文庫)
365日、日めくりカレンダーのようにまとめられた言葉の数々。季節感やぬくもりを感じられる素敵な日本語たち。発音したときの響きも美しく、ほっとさせられます。
パラパラとめくれるので、本棚において気が向いたときに適当にページをめくってみるのも良いかもしれません。「花明かり」や「玉響」など自然や暦を表すことばに心が洗われます。
同じことばを使うなら、心地よく感じる美しいことばを使いたいもの。攻撃的で乱暴的な言い回しは極力さけ、TPOに応じたことばを選ぶセンスを身につけたいものです。
自分の意志を的確に伝えるためにも、表現力のひとつとしてことばを常に磨いていきたいと思います。