私達の命の源である水。その水に真剣に向き合うという意味では共通の物語を集めてみました。
ちょっと変わり種ですが、水について考えるきっかけになる本を紹介します。
『DIVE!(ダイブ)1 前宙返り3回半抱え型』
著・森絵都
飛び込み台に立って、青いプールを見おろし、水と向き合う。それからまっすぐ正面を見すえ、下半身に力をこめて、宙にまいあがる。宙返り、ひねり、抱え込み...。指先に水がふれ、次の瞬間、水しぶきがあがる。
成功したときにあじわう達成感と解放感。失敗したときは、水が衝撃となって全身を打つ。そんな過酷なスポーツ、ダイブに取り組む学生たち。彼らの前には、オリンピックという大きな目標があります。
飛び込みというスポーツを知らない者にとっては、新しい世界を驚きとともに知る機会になり、また勝負のおもしろさを生かした展開は、だれをも夢中にさせます。苛酷な練習にとまどいながらも真剣にとりくむ等身大の中学生たちに、共感をおぼえることでしょう。
『さばくのカエル 新日本動物植物えほん2-9』
著・松井孝爾
日本のはるか南にあるオーストラリアという大陸には、砂漠がたくさんあります。赤い土の砂漠がどこまでも続き、太陽がじりじりと照りつけています。雨はほとんど降りません。
そんなところに、なんとカエルが住んでいるんです。カエルって、川や池にいるものでしょう?水のない砂漠で、どうやって生きているのでしょうか。砂漠のカエルたちの体には、いろいろな秘密が隠されています。
ミズタメガエルを中心に、オーストラリア固有のカエルたちの生きる知恵を紹介しています。写実的な絵が、生態をよく伝えています。
『砂漠のこと』
著・キャスリン・シル
砂漠は、めったに雨がふらない乾燥したところです。とても暑いところにも、とても寒いところにもあります。砂漠の生き物は、きびしい環境で生きるために、特別な方法を身につけています。気温が下がる夜だけ活動する動物や、必要な水分をすべてエサからとる動物もいます。茎に多量の水分をたくわえる植物や、十分に雨が降るまで何年ものあいだ地中で待っている種子もあります。
砂漠の生き物たちのくらしには、おどろくことがいっぱいです。
美しい細密画と簡潔な説明文が特徴の「自然スケッチ絵本館」のシリーズで、巻末には、子どもも読める詳しい解説がついています。
片やスポーツの対象として、片や生きる術として、それぞれ捉え方は違えども、そのひたむきさは同じものでしょう。
この本を読むと、いかに私達が水とともに生きているのかが分かりますよ。