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【不条理 おすすめ 小説】不条理文学のすすめ。不条理の意味が分かる本

生きているとキレイごとばかりではすまされず、病や死、天災、大切な人との別れなど、どうしても理不尽なことが襲い掛かってきます。人間は生きていく上で、生存意味を求めがちですが、そもそも生きていること自体に意味はないという考え方が実存主義の考え方です。その上で、どのように不条理に対処していくのかという哲学や文学が発展してきました。不条理に抗う人間の姿はどこか滑稽で、前向きに生きようという強迫観念から解放してくれるものでもあります。自らの不条理に向き合うために、希望の光がそっと浮かぶそんな小説を紹介いたします。

 

「ペスト」

ペスト (新潮文庫)

(新潮文庫) カミュ・作
アルジェリアのオラン市。経済が発展する都市でのペストの流行。街はいきなり封鎖され、閉塞された環境の中で目に見えない悪、ペストとの闘いがはじまります。人間性がどんどん失われていくなかで、死すら他人事のように思え、日常生活を送ろうとする姿に人間のリアルな側面が写し出されます。ナチス闘争の最中に書かれたカミュの傑作長編です。

   

「審判」

 

審判 (岩波文庫)

(角川文庫クラシックス) フランツ カフカ・作
 ある朝、知らない男たちが部屋に入ってきて、身に覚えのない罪で逮捕されるK。審判が始まっても、Kは平然と勤め先に出勤します。なぜ逮捕されたのか、おかした罪は何なのかも知らされずに。未完で終わった作品ですが、ユダヤ人の血をひいたカフカだからこそ表現できる底知れぬ不安が漂っており、結末がないからこそ不条理の世界に浸ることができます。

 

「幽霊たち」

 

幽霊たち (新潮文庫)

(新潮文庫) ポール オースター・作
 ホワイトという男からブラックをを見張る依頼を受けた私立探偵のブルー。なんの変化もない日常をただただ見張り続けていくうちに、自分が自分でなくなっていく感覚を覚え・・・。カフカやベゲッドに影響を受けたという著者の、21世紀の不条理文学です。クールな文体で男性も楽しめると思います。

 

そもそも生きることへの意味づけ自体が、自らの主観によってなされるもので意味はないという考え方は、現象学に繋がっていきます。このような文学は第一次・第二次世界大戦の最中や後に発展してきた文学です。強く生きるために、生きづらい現代だからこそ手にとってほしい文学です。

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