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【1960年代 小説】1960年代を体感できる、おすすめ小説【日本 生活】

 高度経済成長、東京オリンピック。海外旅行が自由化され、海外への関心が大きく広がった夢溢れる時代。カラーテレビが普及し、生活がどんどん近代化されていく一方、システムに飲み込まれていく人間性や精神的喪失感は現代とも通じるところがあります。そんな1960年代を体感できる小説を紹介いたします。現代を生きていく何かのヒントになるかもしれません。

 

パニック・裸の王様

パニック・裸の王様 (新潮文庫)

 開高 健() (新潮文庫)

 芥川賞受賞作の「裸の王様」は、絵画教室が舞台の物語。子どもたちの自主性や自由な視点を教えようと試みる主人公の教師。その視点すらすでに型にはめていく教育だと気づいていく。幼い子どもですら家庭や社会の環境の影響を受けて思い通りに育てていくという矛盾。人間性をどう育てていくのかと考えさせられます。「パニック」は町に大量にネズミが発生するというカミュの「ペスト」を思わせる作品。権威や権力に翻弄されていく人間を描いていて、レールに乗る人生の危険性を感じさせられます。

 

夢の砦〈上・下〉

 

夢の砦(新潮文庫)

 小林 信彦() (新潮文庫)

 1960年代の出版界、テレビ界が舞台。夏目漱石の「坊ちゃん」を下敷きにした青春小説で、個人がどこまで自由に活動できるか、東京の街とユニークな人物描写によって描かれるエンターテイメント作品です。夢や希望に胸を膨らませられる爽やかな読み心地の作品です。

 

マイナス・ゼロ

マイナス・ゼロ (集英社文庫)

 広瀬 正() (集英社文庫) 

 戦争中に隣人と交わした約束。18年の時を超えて叶えられる約束。タイムトラベル小説の原点ともいえるSF作品としても人気の本ですが、戦中・戦後の昭和の雰囲気を満喫できる一冊です。こちらを気に入った方は「夏への扉」ロバート・A. ハインラインもおすすめです。優しいSF作品として楽しめます。

 

 時代を超えても人間が抱える問題は普遍的で、現代を生きていく上での励ましにもなります。いろんな時代を味わうことができるのも読書の良いところ。本の上でのタイムスリップの旅をお楽しみください。

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