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「昭和30年代」が感じられるオススメ本

1978年に芥川賞を受賞した宮本輝の小説『泥の河』を読むと、昭和30年代でまだ戦争の焼け跡が残っている大阪の暮らしがよく分かります。

 

蛍川・泥の河 (新潮文庫)

 

どんな本か

小説の主人公は大阪湾に注ぐ川付近で暮らす、小学2年生の男の子です。
終戦後、満州から九死に一生を得て帰国したお父さんと、ぜんそくの持病がお母さん苦労をしてバラックのうどん屋さんを経営するようになり、固定客がついて、毎月安定した生活ができるくらい繁盛させていました。
ある日、川の対岸にポンポン舟が停泊するようになり、少年が興味津々で見ていると、なんと舟の中で人間が暮らしていることが分かりました。

舟は戦死したお父さんの遺品で、未亡人になったお母さんと子供2人が住処にしているだけでなく、廓舟(くふわぶね)の役割も果たしていました。
つまり、貧しいお母さんが生きていくために、舟の一室で身売りをしながら子育てをしていたわけです。

義理人情のあるうどん屋の親子は、舟で生活している子供2人と交流して、温かく家に迎えてあげます。
隣近所の噂話で母親が身売りをしていることは承知の上でした。
終戦直後の日本では、特攻崩れで酔っ払いながら荒くれている元兵隊、自暴自棄になっているパンパン、川釣り用のエサをとりながら生活している老人など、その日暮らしでやっと生きている人々が当たり前のように大勢いたのです。

うどん屋の少年は、ポンポン舟に住む同い年の男の子と仲良くなりましたが、生活レベルや道徳心の違いを感じて、次第について行けなくなってしまいました。
男の子が鳥の雛を握りつぶす、生きている蟹に火を付けて炙る、夏祭りで万引きをするなど、まともな家の子供には考えられないような横行を働いていたからです。

 

蛍川・泥の河 (新潮文庫)

 

最後に

『泥の河』を読むと、昭和30年代の泥臭い生活にあふれていた日本の様子が手に取るように分かります。
将来の夢が分からない中高生、友達ができない大学生、仕事を辞めたくなっている社会人などにオススメの一冊です。
平和な日本で生きているだけで幸せだと思えるようになるかも知れません。

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