『敗戦真相記』
永野譲
この本は、何と昭和20年に原爆の直撃を食らった廃墟広島で行われた公演の記録なのです。ジャーナリストの間では有名な本だったのですが、近年になって復刻されたものなのです。中身は100ページと短い文章で、しかし語り言葉は平易で、文字通り目から鱗が出るような内容なのです。当時は政治的に人材が枯渇していた時であったことなど、今思えば納得できることがたくさんあります。
これは若い人、特に社会人にぜひ読んでみてほしい本です。会社という組織とは何かを問い直すためにも役に立つでしょう。1時間か2時間で読めるので当時の日本人が何を考えていたかを知るには最適です。
『戦後史の正体』
孫埼享
著者は元外務省国際情報局長という立場から、色々な情報を知りえたようですね。今なおタブーとされている当時のアメリカからの圧力を軸に戦後70年を読み解く、という意欲的な本となっています。高校生向けの教科書を書くつもりで書いたというだけあって、本当だったら堅い内容なのに、すらすら読めるのでおすすめです。
日本政府を抜きにして、軍が直接統治するつもりだったこと。
朝鮮戦争勃発までは日本の経済力を、日本が支配したアジアの国々レベルにしなければならないと考えていたこと。
工場を潰し、生産力を奪っていったことなど、えっと驚くようなこと、知っていた方が良いことがたくさんあります。
『東京プリズン』
赤坂真理
通常日本人として生活していると考えることのないテーマを考えるということは、頭を刺激するには良いのかもしれません。
この本は研究書でも評論でもエッセイでもなく、小説という表現方法なのがいいですね。物語は16歳のマリが転校先のアメリカで、取得単位が足りないという事態になったとことから始まります。落第しないためには天皇の戦争責任についてディベートしなければならないという、窮地に立たされます。
主人公マリの心の中の葛藤が独特のタッチで描かれます。 議論好きの大学生にもオススメです。