『寄生虫のはなし』
ユージーン・H・カプラン
夢中になってワクワクしながら読める本というものは少ないのですが、この本は是非とも読んでほしいワクワク本です。アメリカの大学の寄生虫学の講義内容をまとめた一冊なのですが、ただしその辺の生物理論や生物の特徴を羅列する教科書的な本とは全然違います。目次を見るだけでその変わり具合が分かるでしょう。
肛門を覗き見る(我が子の)、反ユダヤ主義のサナダムシ、毛じらみ撃退法などなど。
とても大学教授が書いたとは思えないような目次です。これがわかりやすくユニークな例えによって、読者は知らず知らずに最後まで読み進めてしまうでしょう。寄生虫がどうやってセックスするかが書いてある箇所を読んだ時には周囲に見られないよう縮こまって読んでしまいます。この本には驚きの事実が散りばめられており好奇心旺盛な大学生にはすごくお勧めできる本です。
『寄生蟲図鑑 ふしぎな世界の住人たち』
増補版 寄生蟲図鑑 ふしぎな世界の住人たち (KS科学一般書)
スタジオ四畳半
本書は世界で唯一の寄生虫博物館である、目黒寄生虫館が監修を行ったものです。本文は寄生虫学の勘所を押さえながらも、それぞれの項目に、死がふたりを分かつまでとか、理想の大人になりたくて、などユーモア溢れる副題がついていて遊び心が嬉しい一冊になっています。
楽しく読み進めるうちにしっかり有名寄生虫の要点を学ぶことができるのです。寄生虫なんてグロいじゃないかと背筋を震わせてしまった方はどうぞご安心ください。リアルな写真ではなくイラストで綴られているビジュアルブックなので、余計な生々しさは感じられません。このイラストは自身も魚介類の寄生虫研究をしていたという著者のこだわりものです。生物学を専攻している大学生にはぜひおすすめです。
『糖尿病とウジ虫治療 マゴットセラピーとは何か』
糖尿病とウジ虫治療――マゴットセラピーとは何か (岩波科学ライブラリー)
岡田匡
今や国民の6人に1人がかかるとも言われる糖尿病、この病気の恐ろしさはそれ自体というより血管の内皮機能が障害されて起こる様々な合併症にあります。足の傷から潰瘍になり感染を起こして下肢切断を余儀なくされることも多いのです。今それらの潰瘍を全く意外な切り口で治療する方法に注目が集まっています。
それは信じがたいことに、ウジ虫を使う治療法なのです。確かにショッキングでゾッとするような治療法ではあるでしょう。でも極めて現代的な慢性病によって引き起こされた疾患を太古から連綿と受け継がれてきた方法で治療するとは、なんとスケールの大きな話でしょうか。そのドラマチックさに感動させられる一冊です。社会人になって運動不足になったり、身内に糖尿病患者がいて心配している人には是非読んでほしいです。
最後に
ちなみに、このサイト名は「ほんのむし(本の虫)」と虫をテーマにしています。
あなたもこの本を読んで真の「ほんのむし」になってみては?