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【トリックアート絵本おすすめ】だまし絵・錯視・しかけが楽しい名作

トリックアート絵本は、ただ眺めるだけで終わらない。ページを逆さにしたり、目をこらしたり、親子で「今の、どう見えた?」と話したりしながら、絵本そのものが小さな遊び場になる。この記事では、だまし絵、錯視、絵探し、工作まで、子どもと大人が一緒に楽しみやすい名作を5冊に絞って紹介する。

 

 

読む目的別の入り口

トリックアート絵本は、年齢よりも「どう遊びたいか」で選ぶと失敗しにくい。静かに驚きたいのか、絵の中を探検したいのか、自分の手で作ってみたいのか。その違いで、最初に開く本が変わる。

だまし絵絵本のおもしろさ

だまし絵や錯視の絵本がおもしろいのは、絵の中に秘密が隠れているからだけではない。読んでいるこちらの目と頭が、勝手に意味を作ってしまうからだ。階段が上っているようで下っている。一本の線が長く見えたり短く見えたりする。白い形を見ていたはずなのに、ふと黒い形が浮かび上がる。世界そのものが変わったのではなく、見方のほうが揺れる。

子どもはこの揺れにとても敏感だ。大人なら「錯視だね」と名前をつけてしまう場面でも、子どもはまず本を近づける。首を傾ける。ページの端を持って、もう一度戻る。絵本を読むというより、目で触っているような時間になる。読み聞かせの声が少なくても成立するのは、このジャンルの大きな魅力だ。

ただ、トリックアート絵本は派手ならよいわけではない。驚きだけが続くと、読み終えたあとに何も残らないこともある。反対に、よい絵本は「なぜそう見えたのか」を説明しすぎず、もう一度見る余白を残してくれる。ページを閉じたあと、影や階段や机の上のものが、さっきまでと少し違って見える。その小さな変化が楽しい。

今回は、絵本としての美しさがあるもの、錯視の定番として長く読めるもの、幼児でも反応しやすいもの、絵探しとして遊べるもの、工作へ進めるものを分けて選んだ。親子で見る本を探している人にも、だまし絵の入口を作りたい人にも、無理なく選べる並びにしている。

トリックアート絵本おすすめ5選

1.光の旅 かげの旅(評論社)

トリックアート絵本を一冊だけ選ぶなら、まず候補に入れたいのが『光の旅 かげの旅』だ。表向きには、家族が車で出かけていく旅の絵本である。朝の光、道路、建物、木々、町の気配。白と黒を基調にした絵は静かで、最初はむしろ落ち着いた絵本のように見える。

ところが、読み終えたところで本を上下逆さにすると、同じページが別の風景へ変わる。行きの景色が帰りの景色になり、光だったものが影になり、ただ通り過ぎたように見えた形が、まったく違う意味を持ち始める。派手なしかけが飛び出すわけではない。けれど、本そのものをくるりと返した瞬間、読者の中で景色がひっくり返る。

この本の強さは、驚きが一発芸で終わらないところにある。上下反転で別の絵が見えるという仕組みはシンプルだが、絵本としての流れがきれいに残っている。最初の読みでは旅のリズムを追い、二度目の読みでは「さっき見ていたものは何だったのか」を確かめる。三度目になると、もうページの端や黒い余白まで目が行く。子どもも大人も、自然に観察者へ変わっていく。

読み聞かせで使うときは、最初から仕掛けを説明しすぎないほうがいい。普通に最後まで読み、そこで本を回す。すると、部屋の空気が少し変わる。子どもが前のページに戻りたがるなら、その反応こそこの絵本の読書体験だ。わからせるより、気づく時間を残したい。

特に刺さるのは、絵本をただ聞くだけでは物足りなくなってきた子どもと読むときだ。物語を追うだけでなく、絵の中に自分から入り込む力が育ってくる時期に合う。小学生なら、だまし絵や反転図形への入口にもなる。もちろん、大人が一人で眺めてもいい。夜、静かな部屋でページを返していると、見慣れた景色の裏側にもう一枚の世界があるような感覚が残る。

トリックアートという言葉から、にぎやかな驚きを想像している人ほど、この本の静かさに驚くと思う。光と影は反対のものに見えるが、実は同じ形の中で支え合っている。子ども向けの絵本でありながら、「見方を変える」とはどういうことかを、かなり深いところで教えてくれる一冊だ。

2.ふしぎなえ(福音館書店)

ふしぎなえ (安野光雅の絵本)

ふしぎなえ (安野光雅の絵本)

  • 株式会社 福音館書店
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安野光雅の『ふしぎなえ』は、トリックアートを「騒がしいびっくり」ではなく、「静かな違和感」として味わえる絵本だ。ぱっと見た瞬間には、何かが大きく飛び出してくるわけではない。けれど、視線を置く場所を変えるたびに、階段や道や建物のつながりが少しずつおかしくなる。正しいようで正しくない。成り立っているようで、よく見ると成り立っていない。その不安定さが心地いい。

この本は、説明文を読んで理解するタイプの絵本ではない。むしろ、言葉が少ないからこそ、読者の目が働く。子どもと一緒に開くなら、「どこが変かな」と聞くよりも、「この人、どこへ行くと思う?」くらいの問いかけが合う。すると、子どもは絵の中の道を指でたどり始める。たどっているうちに、いつの間にか行き止まりが開けたり、上に行ったはずなのに下に戻ってきたりする。

安野光雅の絵本には、数学的な秩序と手描きのやわらかさが同居している。線は冷たすぎず、構図はきちんとしている。だから、錯視の本でありながら、図鑑のように固くならない。机の上に置いておくと、ふとした時にまた開きたくなる。声を張って盛り上げる読み聞かせより、午後の明るい部屋で親子が横に並んで眺めるような時間に向いている。

この本が特に効くのは、答えを急がずに絵を見る練習をしたいときだ。今の子どもの生活には、すぐに正解が出るものが多い。動画もゲームも、反応が速い。『ふしぎなえ』はその反対に、少し黙って見ているうちに、じわじわとおかしさが立ち上がってくる。気づくまでの数秒が、ちゃんと遊びになる。

大人にとっても、これはよい入口になる。だまし絵や錯視の理屈を知らなくても、「自分の目は意外とあてにならない」と素直に感じられる。線や遠近法を使った絵の中で、こちらの常識が少しずつ裏切られる。読むというより、見る姿勢を変えられる本だ。

『光の旅 かげの旅』が本を反転させる驚きなら、『ふしぎなえ』は目の中で世界がねじれる驚きである。どちらもだまし絵の定番だが、読後の手触りはかなり違う。元気に反応を引き出したい日より、静かに集中したい日、親子で絵の中に入り込むように過ごしたい日に、この本はよく合う。

3.ふしぎなナイフ(福音館書店)

ふしぎなナイフ

ふしぎなナイフ

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『ふしぎなナイフ』は、トリックアート絵本の中でも、幼児から反応が出やすい一冊だ。出てくるのは一本のナイフ。テーブルの上に置かれた、ごく普通のナイフである。ところがページをめくるたびに、そのナイフが曲がり、折れ、ねじれ、溶けるように変形していく。現実には起こるはずのないことが、写真のような質感で目の前に現れる。

この本のよさは、題材がひとつに絞られていることだ。複雑な背景も、大きな物語もない。だから小さな子でも迷わない。「ナイフがどうなるか」だけを追えばいい。言葉の理解がまだ十分でなくても、ページをめくった瞬間の変化は伝わる。読み聞かせというより、ページをめくるたびに小さな実験をしているような感覚になる。

絵本としては、とても潔い作りだ。余計な説明を加えず、視覚の驚きだけで進んでいく。ナイフという硬くてまっすぐなものが、ぐにゃりと曲がる。その違和感は、子どもにも大人にも直感的に届く。幼児が笑うのもわかるし、小学生が「どうやって作ったの」と聞きたくなるのもわかる。

この本が刺さるのは、読み聞かせに少し疲れている日かもしれない。長い物語を声に出す元気はない。でも、子どもとは何か一緒に見たい。そういう時に開くと、言葉の量が少ないぶん、親の負担が軽い。それでいて、子どもの反応は大きい。笑ったり、真似して手を曲げたり、ページを戻したりする。絵本の時間が、少し体を使った遊びに変わる。

もちろん、ただ派手なだけではない。一本のナイフが変形していく過程には、視覚表現の精度がある。硬さ、光沢、影、角度。現実らしさが保たれているからこそ、不可能な変化がより不思議に見える。現実味がなければ、ただの絵になる。現実味があるから、目がだまされる。

『ふしぎなえ』のようにじっくり矛盾を探す本とは違い、『ふしぎなナイフ』は一瞬で伝わる。初めてトリックアート絵本を読む幼児や、反応のわかりやすい本を探している家庭には特に向いている。読み終えたあと、食卓のスプーンやフォークを見て「これも曲がるかな」と言い出したら、この本の楽しさはもう生活の中に入り込んでいる。

4.トリックアートおばけやしき(あかね書房)

『トリックアートおばけやしき』は、絵本というより、ページの中を歩き回るアトラクションに近い。舞台はおばけ屋敷。そこに錯視、隠し絵、絵探し、反転する絵が組み込まれていて、読む側はただ順番に眺めるだけでは済まなくなる。どこかに何かがいる。さっきの絵が違って見える。部屋の奥に進んでいるつもりが、いつの間にか別のしかけに引っかかっている。

この本は、静かな名作絵本とは少し役割が違う。『光の旅 かげの旅』や『ふしぎなえ』が、視点の変化をじわっと味わう本だとすれば、こちらは遊びながら観察力を使う本だ。子どもはページを開いた瞬間から、何かを探し始める。おばけというモチーフもわかりやすく、少しこわいけれど楽しい、という気分が集中力を引き出してくれる。

絵探しが好きな子にはかなり相性がよい。細かいところまで見たい子、見つけたものをすぐに誰かに伝えたい子、同じページを何度も見返す子には向いている。反対に、静かな物語をゆっくり聞きたい夜には少しにぎやかかもしれない。寝る前の落ち着いた読み聞かせというより、休日の午後や、親子で時間を取れる場面に合う。

この本を読むときは、親が先に答えを見つけすぎないほうがいい。子どもが「あった」と言うまで待つ。見つからなければ、一緒に顔を近づける。大人が正解係になるより、同じ部屋に迷い込んだ仲間になるほうが楽しい。ページを挟んで、目線が行ったり来たりする。その時間に、この本の魅力がある。

だまし絵絵本の中には、大人の知識が先に立つものもある。だが『トリックアートおばけやしき』は、子どもの探索本能にまっすぐ届く。理屈を知らなくても、絵の中に入り込める。おばけ屋敷という舞台があることで、錯視が単なる図形ではなく、冒険の一部になる。

読み終えたあとに残るのは、「よく見れば、まだ何かあるかもしれない」という感覚だ。これは、絵本の外にも持ち出せる。部屋の隅、雲の形、影の重なり。子どもがふと何かを見つけて報告してくるなら、この本は観察する目を少し育てている。遊びの本として置いておくと、何度も開かれやすい一冊だ。

5.トリックアート図鑑 ペーパークラフト(あかね書房)

見るだけで終わらせず、自分の手で作るところまで進めたいなら、『トリックアート図鑑 ペーパークラフト』がいい。トリックアートは、眺めているだけでも十分に楽しい。けれど、実際に紙を折り、切り、組み立ててみると、「どうしてそう見えるのか」が体の感覚に近づいてくる。目だけで驚いていたものが、指先の作業に変わる。

この本は、絵本というより体験型の一冊として考えるとよい。完成品を見る本ではなく、作る過程そのものを楽しむ本だ。紙を持つ角度、折り目の位置、光の入り方、見る場所。ほんの少しずれるだけで、見え方が変わる。そこに、工作としての面白さとトリックアートとしての面白さが重なる。

親子で使う場合、最初からきれいに仕上げようとしすぎないほうがいい。ペーパークラフトは、少し曲がったり、折り目が甘くなったりすることもある。でも、そのずれを含めて「なぜ見え方が変わるのか」を話せる。うまくいかなかったものを見ながら、角度を変える。のぞき込む。光を当てる。そうすると、失敗も観察になる。

この本が刺さるのは、絵を見るだけでは物足りなくなってきた子どもだ。図工が好きな子、紙工作が好きな子、自由研究のように何かを作って説明したい子には向いている。反対に、幼児が一人で扱うには少し難しい場面もある。小さな子と使うなら、大人が切るところや細かい組み立てを手伝い、子どもには見る角度を探す役を渡すとよい。

だまし絵や錯視は、ともすると「不思議だね」で終わりやすい。もちろん、それだけでも十分楽しい。けれど、工作を通すと、見えるものが作られていることに気づく。目がだまされるのは、ただの偶然ではない。角度、影、線、立体の配置が、こちらの見え方を誘導している。子どもにとっては、アートと理科の境目が少し近づく体験になる。

後半に読む本として、この一冊は役割がはっきりしている。まず『光の旅 かげの旅』や『ふしぎなえ』で見る驚きを味わい、『ふしぎなナイフ』や『トリックアートおばけやしき』で遊ぶ。そのあとにこの本へ進むと、トリックアートが「見るもの」から「作れるもの」へ変わる。休日に少し時間を取って、紙と机の上で遊びを広げたい家庭に合う本だ。

関連グッズ・サービス

本を読んだ後の学びを生活に根づかせるには、絵本を開く時間だけでなく、見る・聞く・作る環境を少し整えると続きやすい。トリックアート絵本は紙の本との相性が強いが、親の読書時間や子どもの工作時間を支える道具も役に立つ。

電子書籍で関連本を探す

絵本そのものは紙で楽しみたいが、錯視やだまし絵、子どもの知育に関する本を広く探すなら、電子書籍の読み放題サービスも補助になる。親が背景知識を拾っておくと、子どもの「なんで?」に少しだけ付き合いやすくなる。

Kindle Unlimited

移動中に物語を聞く

視覚で遊ぶ絵本とは別に、移動中や寝る前に耳で物語を聞く時間を作ると、親子の読書習慣が続きやすい。目で見る本と耳で聞く本を分けると、絵本の時間が義務になりにくい。

Audible

紙工作用のはさみ・のり・厚紙

『トリックアート図鑑 ペーパークラフト』まで進むなら、子ども用のはさみ、扱いやすいのり、少し厚めの紙を用意しておくと遊びやすい。道具がそろっているだけで、「あとで作ろう」が「今やってみよう」に変わることがある。

まとめ:読む順と選び方

トリックアート絵本は、驚きの強さだけで選ぶより、読者の年齢と遊び方に合わせて選ぶほうが長く楽しめる。まず絵本としての完成度を味わいたいなら、『光の旅 かげの旅』から始めるといい。本を上下逆さにするだけで、同じ景色が別の物語に変わる。最初の一冊として、驚きと余韻のバランスがよい。

静かに絵を見たい子、考えながら眺めるのが好きな子には、『ふしぎなえ』が合う。正解を急がず、絵の中を指でたどる時間を楽しみたい。小さな子とすぐに盛り上がりたいなら、『ふしぎなナイフ』が読みやすい。言葉より先に、ナイフの変化が伝わる。

絵探しや冒険の要素を入れたいなら、『トリックアートおばけやしき』へ進むとよい。ひとりで見るより、親子やきょうだいで「どこにある?」と話しながら読むと楽しい。さらに、見るだけでなく作るところまで広げたいなら、『トリックアート図鑑 ペーパークラフト』が次の段階になる。

  • 最初の一冊にするなら:光の旅 かげの旅
  • だまし絵の定番を静かに味わうなら:ふしぎなえ
  • 幼児と反応を楽しむなら:ふしぎなナイフ
  • 絵探し・冒険として遊ぶなら:トリックアートおばけやしき
  • 工作や自由研究へ広げるなら:トリックアート図鑑 ペーパークラフト

順番としては、『光の旅 かげの旅』か『ふしぎなナイフ』で入口を作り、次に『ふしぎなえ』でじっくり見る力を使い、『トリックアートおばけやしき』で遊び、『トリックアート図鑑 ペーパークラフト』で手を動かす流れが自然だ。読むだけでなく、見方を変え、探し、作るところまで進めると、トリックアート絵本は本棚の中で何度も戻りたくなる場所になる。

よくある質問(FAQ)

Q. トリックアート絵本は何歳から楽しめる?

A. 作品によって違うが、反応が出やすいのは3歳前後からだ。『ふしぎなナイフ』のように変化がひと目でわかる本は、幼児でも楽しみやすい。『ふしぎなえ』や『光の旅 かげの旅』は、絵をじっくり見たり、仕掛けに気づいたりする楽しさがあるため、年長から小学生くらいになると深く味わいやすい。

Q. 読み聞かせに向いているのはどれ?

A. 盛り上がりやすいのは『ふしぎなナイフ』と『光の旅 かげの旅』だ。『ふしぎなナイフ』はページごとの変化がわかりやすく、短い時間でも楽しめる。『光の旅 かげの旅』は、本を逆さにして読み返す瞬間が大きな見せ場になる。静かに対話しながら読むなら『ふしぎなえ』もよい。

Q. 知育目的で読むならどの本がいい?

A. 観察力や視点の切り替えを育てたいなら、『ふしぎなえ』と『トリックアートおばけやしき』が使いやすい。絵の中を見比べたり、隠れたものを探したりするうちに、細部を見る力が自然に働く。工作や自由研究のように形にしたいなら、『トリックアート図鑑 ペーパークラフト』が向いている。

Q. こわい絵が苦手な子でも読める?

A. おばけやしき系が苦手なら、まずは『光の旅 かげの旅』『ふしぎなえ』『ふしぎなナイフ』から入るとよい。どれも怖がらせる本ではなく、見え方の変化を楽しむ絵本だ。おばけの雰囲気が好きになってきたら、『トリックアートおばけやしき』へ進むと遊びの幅が広がる。

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