ほんのむし

読書はみんなのサプリ

【すみれ 花 おすすめ本】「スミレ」がテーマのおすすめ小説。

日本人が昔から親しんできた花といえばスミレ。道ばたでも力強く、可憐で小さな花を咲かせる姿、短命なところが子どもからから大人の女性へと成長していく一瞬の不安定で繊細なきらめきを放つ「少女期の象徴」として文学では扱われることが多いです。今回は、そんな少女期にトリップできそうな本を紹介いたします。

 

「ぼくのスミレちゃん」

ぼくのスミレちゃん

今江 祥智・作
 年老いた夫婦。認知症を患ったお婆さん。出会ったころを思い出すおじいさん。お互いの目線で綴られた老夫婦の愛の歴史、寄り添ってきた姿が描かれています。ただただ美しい昔の思い出。馬に乗って一緒に走ったあの頃。薄い本ですが、時間と記憶の狭間をただよう「今ここ」ではない幻想的な美しさ。愛は変わらず静かにそこに佇んでいます。

 

「すみれの花の砂糖づけ」

 

すみれの花の砂糖づけ (新潮文庫)

江國 香織・作
 少女のころの純粋さ、大人になった女性の哀愁を感じさせる江國香織さんの詩集。みずみずしさ、軽やかな言葉で心地の良い静かな世界へといざなってくれます。幼さ、情熱、そして孤独。優しさや懐かしさが胸の中に染み込んできます。女性なら共感できる詩がたくさんあるのではないでしょうか。

 

「すみれノオト ---松田瓊子コレクション」

すみれノオト ---松田瓊子コレクション

松田 瓊子・作
 野村胡堂の娘で戦前の少女小説を書き、23歳で夭折した作者によるまぶしいくらいの清純なノオト。オルコットやバーネットに憧れ、希望と可能性に心震わせた少女時代。凛とした佇まいや礼を重んじる姿。そのひたむきさと愛を信じて生きてきた姿に心が現れます。日記や小説、短歌を紹介した本。土や花の匂いが漂ってくるような文章と、素敵な表紙にうっとりため息をつきたくなります。

 

誰にでもあった少女のころ。その瑞々しさや危うさ、純粋さを取り戻したい方、もう一度原点に戻りたい方におすすめの本です。読み終わったときには視界が明るくなり、温かい気持ちになれます。人を疑いもなく信じる姿にはっと気づかされることも多いでしょう。

Copyright © ほんのむし All Rights Reserved.

Privacy Policy