独裁者として有名なヒトラー。
演説の名言、多くの予言も残しており、現代において重要な人物です。
もともと、ユダヤ人虐殺などドイツ暗黒の歴史として語られることが多いですが、そのヒトラーは国民投票によって国民が選んだ政治家でした。第一次大戦後、世界恐慌の影響で失業者が溢れ、希望を失った国民たちの心を惹きつけたカリスマ性あふれるスピーチ、社交性あふれる人柄、芸術家としての側面。もちろん、彼が犯した罪については忘れてはいけないことですが、当時の国民が支持した彼の魅力も忘れてはいけません。
今回はヒトラーが題材となった本を紹介いたします。
【ヒトラー おすすめ 本】「ヒトラーってどんな人なの?」知りたい人へ。演説、歴史をまとめた、おすすめ関連本3選。
「ヒトラー演説 - 熱狂の真実」
高田 博行・作
25年間にわたるヒトラーの演説分を歴史的背景、声のトーン、演説技術など言語学者である著者が解析。怒涛の時代のなか、思考を放棄した国民たちが簡潔な二元論の演説にのめり込んでいった様子がよく分かります。もともと演説の才能があったヒトラーですが、オペラ歌手によるトレーニングによって、さらにその能力を伸ばしていったそうです。日頃のプレゼンテーション技術を向上させたい方にもおすすめです。
「RED ヒトラーのデザイン」
松田 行正・作
ヒトラーは写実的な絵画を描いていたのは有名な話で、彼のセンスの良さが近代的な軍服デザインや自動車のフォルムに影響を与えました。グラフィック・デザイナーの著者が監修した120点以上の映画と図版をもとに解明したヒトラーのデザインの特質が見えてきます。鍵十字、鷲の紋章、ポスターの色やフォント、ヒトラーのヘアスタイルにいたるまで、ヒトラーが芸術を用いて国民の心に訴えかけることに一役買ったということがよく分かります。
「かえってきたヒトラー」
ティムール ヴェルメシュ・作
映画化もされた作品。もしも現代にヒトラーがタイムスリップしたら?という設定で物語は進みます。悪役として描かれがちなヒトラーですが、彼は彼なりに国を思って行動しただけのこと。テレビやインターネットがある世界でヒトラーが現れたら・・・ヒトラーのおかげで国民の生活が豊かになったのも史実であるし、過ちをおかしてしまったのも事実。どちらが被害者、加害者というわけではなく、きちんと考える力を持たなければ世論に流されてしまう危険性は現代にもあると痛感させられます。
ナチスというと暗い過去ばかりスポットライトを浴びてしまいがちですが、ヒトラーがもたらした豊かさも視野に入れ、良いところは取り入れる、悪いところは目をつぶらない姿勢が大切だと思います。暗い気持ちになる作品ではないので、是非手にとってみてくださいね。