カフェではなく喫茶店。レトロな響き。老舗のマスター、おいしいコーヒー。顔見知り程度でお互いのことはよく知らないのに、毎日通いたくなる心安らぐ場所。そんないきつけの喫茶店があれば毎日が楽しいですよね。機械で入れたコーヒーよりも、一杯ずつ手で入れてくれる「わたしだけ」のコーヒータイム。暇つぶしに入るのではなく、エネルギーチャージのためのひとときとしての喫茶店を小説の中で見つけてみませんか?
「珈琲屋の人々」
(双葉文庫) 池永 陽 ・作
ワケアリの喫茶店、ワケアリの客。軽い読み心地なのに、ひとつひとつの物語の内容が濃厚なの短編集でシリーズ化されています。ほろ苦い過去とやけどしそうなほどの熱いコーヒー。そっと寄り添うような人の触れ合い。ドラマ化もされているそうです。「深夜食堂」好きにおすすめの一冊です。
「風のベーコンサンド 高原カフェ日誌」
風のベーコンサンド 高原カフェ日誌 (文春文庫 し 34-19)
柴田 よしき・作
高原の一軒家カフェには「空腹警報絶対注意」という看板がかけられています。キャリアウーマンが夫のモラハラに耐えかねて東京から自然に囲まれた田舎町でカフェを開きます。訪れる客も、それぞれ事情を抱えていて・・・。産地直送の新鮮な野菜や牛乳、バターを使ったおいしそうな工夫をこらした料理の描写は食べ物小説としても読みごたえがあります。幸せな気持ちになれる一冊です。
「コーヒーが冷めないうちに」
川口 俊和・作
本屋さん大賞受賞作。その喫茶店のある席に座ると、過去でも未来でも自分がのぞんだ時間にタイムスリップできます。タイムリミットはコーヒーが冷めるまで。あのとき、大切な人だからこそ伝えられなかったひとこと、過去を変えても現在は変わらないこと。それでも心の持ち方で自分次第で乗り越えていける。優しく背中を押してくれる一冊です。
みなさんのお気に入りの喫茶店が見つかりますように。心がほぐれる、熱いコーヒーのような本です。是非手に取ってみてくださいね。