知らない人の前で裸になること、身も心もきれいさっぱり洗い流すこと。日本ならではの文化、銭湯。現在、昔ながらの銭湯は少なくなってきて、おしゃれなスーパー銭湯や温泉施設が多いですが、銭湯ならではの親しみやすさや体がほぐれていく感覚は健在です。なんだかちょっと懐かしい、銭湯をテーマにした小説を紹介いたします。
「メゾン刻の湯」
小野 美由紀・作
他の人とは何かが違う「世間のはみだしものたち」が東京下町の銭湯「刻の湯」でシェアハウスをして暮らす。共同生活をして、ゆるゆるの連携の中、相手の生き方を認めていく若者たちの成長物語。形にならないからと成果ばかり求めて頑張ってしまう大人へ。なにかしら人生の意味を見出したいという方におすすめです。ちょっと立ち止まって人生の原点を見直してみることで、がんじがらめになって苦しんでいることから抜け出せる頭が柔らかくなる本です。
「あたたかい水の出るところ」
木地 雅映子・作
お風呂を愛する女子高生柚子。こだわりの石鹸、石鹸箱を抱え、銭湯や温泉通いを続けます。世渡り上手の姉、神童と呼ばれた妹、家事のしない母親。壊れた家庭環境でぼんやりと暮らしながら銭湯で疲れを癒す日々。そんな毎日のなかで金持ちのお坊ちゃん福一に出会って・・・。とろとろと流れるような柔らかい文章、シンデレラストーリーがお好きな方におすすめの温かいストーリーです。
「上を向いて歩こう」
ヒキタ クニオ・作
神楽坂の湯屋「花鳥風月」は湯屋兼バーという風変わりな設定。薬湯に入りながらカウンターバーで牛すじやごま鯖茶漬けを食べる。オヤジたちの極楽の地。いろんなオヤジ像が描かれていて、酒のおとももみんなおいしそう。毎日頑張っているお父さんたちにおすすめの一冊です。
広い湯舟であたたかいお湯につかることは心身ともにリラックスできます。温泉旅行のお供に、のんびり癒されたいときに是非手にとってみてください。