古典とは、時代を超えて読み続けられてきた世界的ベストセラー作品。そう考えると古典へのハードルも低くなりませんか?新訳もどんどん登場し、より親しみやすくなっています。
長いから、古くて読みにくそうだからと積読していませんか?今回は、死ぬまでに読んでおきたい古典シリーズを紹介いたします。どれも長編ですが、知らず知らずのうちに読破してしまいます。まとまった時間がとれたときにと後回しにせず、是非今すぐ手に取ってみてください。
ファウスト〈第1部・第2部〉
ヨハーン・ヴォルフガング ゲーテ (著) (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
学問と知識に精通したファウストは、悪魔メフィストフェレスと契約して魂を売り渡す。魂と代わりに手に入れたのは快楽と生のあらゆる可能性。少女との恋、若返りの秘薬、殺人、錬金術。悪魔との賭けは神話の世界まで続き国家再建に至るまで続いていく。
ラストシーンのひとこと「時よ、とどまれ、おまえは実に美しい」は有名ですよね。果たしてファウストに救済は現れるのか。ドイツ文学者の池内紀さんの軽快な翻訳で飽きることなく読み進めることができます。
カラマーゾフの兄弟1~5
ドストエフスキー(著) (光文社古典新訳文庫)
人間の善悪とは、キリスト教と無神教、高貴な心と醜悪な感情、人間の存在の本質をついた果てしない物語。
国や人の生き方が近代化されていくなかで、推理小説のように物事の本質を鋭くついて掘り下げていく形式。個性豊かな登場人物がたくさんでてくるので、名前と愛称をメモしながら読んでいくと分かりやすいかもしれません。読みやすい新訳で、注釈もつけられており、ロシア文化についても学ぶことができます。
死靈(1~3)
埴谷 雄高(著) (講談社文芸文庫)
精神病院を舞台にした形而上小説。20世紀の最高傑作との呼び声も高い作品です。自意識とは、自己とはなにか、自我とは?ロマン派を思わせる空虚な幻影。青年たちが抱える魂の叫び。
自己から宇宙までの意識の広がり。それぞれの登場人物が個性豊かで、それぞれの視点から語っています。未完で終わる作品なので、解釈もそのときによって変わってくる永久不滅の名作です。
読み始めると、まだ何巻目と先を長く感じてしまいますが、残り数巻になると、この世界観が終わってしまうということがつらくて読み進めるのがもったいなくなってしまうのも名作古典の特徴。ストーリーを追うのではなく、巨匠の味をじっくり味わってみてください。