男同士の不思議な関係性の二人が様々な事件に対峙する作品をご紹介します。
『ススキノ探偵シリーズ』
ひとつは『探偵はバーにいる』などの東直己さんによる『ススキノ探偵シリーズ』です。主人公〈俺〉はススキノのバー「ケラー・オオハタ」をベースに日銭をかせぐ便利屋。
かなり駄目オトコですが人情には厚く好感が持てます。そして、なぜか相棒となっている北海道大学の大学院生で空手家の「高田」と様々な事件に挑みます。大泉洋さん・松田龍平さん主演で映画化されたこのシリーズ。一般に実写化されると「原作とイメージが違う」問題が起こりますが、この作品の場合には映画を見てしまうと、原作を読んで思い起こされる「俺」と「高田」が大泉洋さん・松田龍平さんにしか思えなくなります。「俺」がだらしない分、クールで無口ながら、空手が強くなぜか「俺」をサポートする「高田」がかっこいい。笑って読める本ですが、かなり読み応えのあるハードボイルド作品でもあります。
「まほろ駅前多田便利軒」
もうひとつのオススメ作品が「まほろ駅前多田便利軒」です。こちらは三浦しをんさんの作品。『まほろ駅前番外地』『まほろ駅前狂騒曲』が続編、続々編として出版されており、人気のほどをうかがわせます。
こちらも瑛太さん・松田龍平さんでドラマ化されました。
「まほろ市」にある「多田便利軒」の経営者である多田啓介は、生まれたばかりの子供を亡くしたことで深く心に傷を負っています。そして彼の元へ転がり込んできたクセの強いオトコ、かつての同級生・行天春彦。真面目な多田は仰天を疎ましく思いながらも、ある「負い目」があり追い出せずにいます。奔放な仰天はその行動で多田を悩ませながらも、多田には無い行動力で事件に関わっていきます。
ただ小さい子供が嫌いで、それには深刻な事情があり、物語が進行するにつれ明らかになっていきます。屈折した友情をもつふたりが中心の物語は、男女問わず、また社会人や大学生など幅広い層に受け入れられています。