言葉の海に呑まれるような長編を読むのも読書の醍醐味ですが、たまには文字のない絵本を読んでみるのはいかがでしょうか。一場面だけ切り取られた絵画ではなく、そこに広がるのは自分の想像力で作り上げられる自由な世界です。
お子様の読み聞かせでも、次の展開を予想することによって他者への思いやりや想像力が育まれ、親子一緒に楽しめ、飽きることがありません。手にとるたびに印象が変わる自分だけのオリジナル絵本。ストーリーを一緒に作っていくのも面白いです。
ジャーニー 女の子とまほうのマーカー
アーロン・ベッカー (著) (講談社の翻訳絵本)
コルデコットオナー賞受賞作。少女が手にしたマーカーは冒険に導いてくれる魔法のマーカー。部屋の壁にドアを描くと現れる本物のドア。気球や魔法のじゅうたんで空を旅する場面がドラえもんのどこでもドアのようでワクワクさせられます。
孤独な少女が旅の終わりに得たものは?冒険心に火をつけてくれる絵本で引っ込み思案なお子さまにもおすすめです。
漂流物
デイヴィッド ウィーズナー(著) (BL出版)
コールデコット賞受賞作。家族と海にやってきた少年が見つけた古いカメラ。そのフィルムを現像すると、見たこともないもの、出会ったことのない人たちが時代を超えて現れてきます。ファンタジックでドラマチックな展開。安定感や平凡な日常生活に飽き飽きしている方にもおすすめの未知への出会いに胸が高鳴る一冊です。
庭 A Day in the Garden
ベッティナ スティーテンクロン(著) (セーラー出版)
パステル調の水彩画で夢の中に入り込んだような風景。ある家の庭の一日の様子が描かれています。季節の移ろい、雨の恵み、自然の厳しさ、果実の収穫や畑仕事。家に住む家族との語らい。虫や小鳥、動物たちとのひととき。庭という一つの風景を通じて語られるドラマチックな生命の動きを感じる絵本です。
ZOOM
イシュトバン バンニャイ(著)(ブッ鶏のトサカキング)
ハンガリーのイラストレーター、アニメーション作家が手掛けたシンプルで原色が鮮やかな絵本。鶏のトサカがどんどんズームアウトしていき、宇宙のはてまで広がっていくいうユニークな視点。余白がないダイナミックな世界観が広い広い世界へ視界を広げてくれます。裏表紙から読み始めるとズームインしてミクロの世界に入りこんでいくので、また違った楽しみができます。
頭が固いと言われた、もっと面白いアイディアを思いつきたいという大人にもおすすめの文字がない絵本。ブレイクタイムにページをめくってみてください。