命はずっとそこにあるもの。そう願いたいものですが、生まれた瞬間から死に向かっていくのは生命のさだめです。
悲しいことではありますが、残された人は自分に残された時間を懸命に生きなけらばなりません。そんな悲しい経験を乗り越えてこそ、自分の人生を見直すきっかけにもなります。今回は、人との別れだけではなく自然の生命も感じさせてくれる絵本を紹介いたします。大切なことだからこそ、小さなころから恐れずに伝えてあげてくださいね。
わたしたちのたねまき: たねをめぐるいのちたちのおはなし
キャスリン・O. ガルブレイス(著) (のら書店)
ひとつの種が風や鳥、太陽、川や動物、いろんな自然の力を頼って地球の力となっていること、命をつないでいるということを感じさせられるボタニカルアートのような優しい絵本。地球という大きな庭にたくさんの命のタネをまく大自然のたくましさに癒されます。梨木香歩さんの訳とあとがきが素敵です。淡い色彩で女性へのプレゼントにもおすすめです。
かぜは どこへいくの
シャーロット・ゾロトウ(著) (偕成社)
子どものころ、たくさんの疑問がありました。お日さま、風、たんぽぽの綿毛、道、山の頂、波、雨、葉っぱ、季節。みんなどこに行っちゃうの?男の子の素朴な疑問にお母さんは優しく答えます。「おしまいになってしまうものは、なんにもないの。べつのばしょで、べつのかたちではじまるだけのことなの」優しい時間が流れ、モノクロのイラストが文章の透明感をひきたててくれます。
生きる
谷川 俊太郎(著) (福音館書店)
何気ない日常のなかに生きることを感じさせてくれる温かで細かい視点の詩と、どこか懐かしい昔を感じさせられるイラスト。内容とイラストは違うのに、どこかマッチして大きな感動を与えてくれます。あなたに会えるという「今ここ」にある幸せ。現在の積み重ねが過去になり、未来になることの素晴らしさ。アドラー心理学に興味がある方にもおすすめの絵本です。
ちいさなくれよん
篠塚 かをり(著) (金の星社)
折れて短くなってごみ箱に捨てられた黄色いくれよん。ぼくまだ描けますよと外の世界に旅に出ます。最後まで誰かの役にたつことを考えている健気な姿、自分に与えられた使命を果たす姿が涙を誘います。物が溢れる時代だからこそ、物を大切に使うことを伝えてくれる絵本です。
物や食べ物も、もともとはなにかの命だったもの。命をいただいて生きているということを決して忘れてはなりません。人の命が一番優れていて優先されるものではなく、共存することの大切さを幼いころから覚えておいてほしいものです。