中世ヨーロッパで誕生した騎士物語。騎士の旅、生活に苦しむ庶民のためにドラゴンや巨人を倒す冒険、美しい貴婦人との恋愛、王となるストーリーは、現代のファンタジーやSF映画、ハリウッド映画にも大きな影響を与えています。ファンタジーやロマンスが大好きな方におすすめの古典文学作品を紹介いたします。
「アーサー王と円卓の騎士―サトクリフ・オリジナル」
ローズマリ サトクリフ・作
ブリテンのアーサー王伝説を元に、著者が脚色を手掛けた一冊でとても読みやすい全3巻のシリーズです。アーサー王の生い立ち、石から剣を引き抜く有名な場面はもとより、魔術師マーリンの生い立ちなども描かれています。人間的な魅力と騎士としての高潔さは少年漫画を読んでいるかのよう。かの有名な伝説も気負いせずにすらすらと読めます。
「ニーベルンゲンの歌」
(ちくま文庫) 石川 栄作・翻訳
中世ドイツの伝説。その後の西洋文化や芸術に大きな影響を与えました。ワーグナーのオペラ「ニーベルングの指環」の原作の英雄叙事詩です。ニーベルンゲンの財宝を手に入れたジークフリートは、竜の返り血を浴びて不死身となってしまい・・・。複雑な人間模様、権力の考察、男と女、暗殺劇。きらびやかな貴族社会とゲルマン民族の忠誠心が描かれたバランスのとれた構成です。読みやすい新作でどうぞ。
「ドン・キホーテ」
(岩波文庫) セルバンテス・作
騎士道物語の大ファンで現実と虚構の世界を生きることとなったドン・キホーテ。ロバを名馬といい、紙で作った鎧を着て、お供のサンチョ・パンサと旅にでます。宿屋のお手伝いさん、ドルシネーアを姫と呼び、風車を巨人といって突っ込んでいくシーンは有名ですよね。全6巻からなる長編ですが、時代を超えても愛される捧腹絶倒な物語です。ただの狂人と一笑する前に、一読をおすすめします。
ドキドキワクワクする冒険譚、あふれるロマン。いろんなファンタジーがありますが、原点に戻って古典的な作品に触れてみるのも良いのではないでしょうか?