ほんのむし

読書はみんなのサプリ

平成ベストセラー本まとめ。読書好き必読。

 本は時代の鏡。多くのひとに読まれたベストセラーは、その時代を映し出します。平成の前期は本の売り上げも多く、いろんな作家さんが世に踊りだした時代。インターネットも携帯電話もなかった時代、知識を得るのは本からでした。勉強のため、娯楽として読書の習慣があるのは昭和生まれで平成前半を生きてきた大人たちではないでしょうか。
 それだけ多くの本が出版されていたときに好まれてきた本はやはり今でも名作と呼ばれる作品が多いもの。今回は平成に読まれてきた小説を紹介いたします。これから生まれる令和世代の子どもたちにも読んでもらいたい本です。

 

TSUGUMI

 

TUGUMI(つぐみ) (中公文庫)

 吉本 ばなな (著) (中央公論新社)
 海辺の旅館に住む病弱な美少女、つぐみ。生まれつき体が弱いのに生命力にあふれ、儚く純粋な存在なのに乱暴な気性をもつ小悪魔のような存在。そんなつぐみの従妹まりあがひと夏旅館での手伝いに訪れる。つぐみとの交流、実らない恋、夏の海のきらめき、夜の描写がきらりと光る吉本ばななの代表作。山本周五郎賞受賞作品です。

 

真夜中は別の顔

 

[まとめ買い] 真夜中は別の顔

 シドニィ シェルダン (著) (アカデミー出版)
 頭脳明晰、絶世の美女のノエルとキャリアウーマンのキャサリン。対照的な二人の女性の生い立ちから交互に物語が進められていきます。元アメリカ空軍兵ラリーとの三角関係も絡む復讐劇。本は飛ぶように売れ、ドラマ化もされた作品です。一時期シドニィ・シェルダンブームが巻き起こりました。古本屋さんでも手に入りやすいので、一気読みしたいときに読んでみてください。

 

失楽園

 

失楽園 上 (岩波文庫 赤 206-2)

 渡辺 淳一 (著) (角川書店)
 日経新聞に連載され、単行本化されてからドラマ化されたという異例の作品。ダブル不倫をテーマにした愛と性欲におぼれてしまう中年男女の官能小説。
 仕事に情熱を感じなくなった元敏腕編集者の久木と、夫に会いを感じなくなった美しい人妻の凛子が出会い、ちょっとした遊びのつもりがどんどん沼地にはまりこんでいくというタブーを犯すことを覚悟での止めることのできない大人の恋愛。性描写も美しいと評判で、現代でも女性の読者さんが多い作品です。

 

1Q84

 

1Q84 BOOK1-3 文庫 全6巻 完結セット (新潮文庫)

 村上 春樹 (著) (新潮社)
 ハルキストにはおなじみの謎のリトルピープルや盲目の羊が登場するクセの強いキャラクターが登場する作品。青豆と天吾、傷をかかえた二人の話が交互に語られます。シリーズは全6冊。謎がどんどん膨らんでいき、宗教問題も取り入れられています。「平成をうつしだす作品」との呼び声も高いファンタジー作品です。

 

火花

火花 (文春文庫)

 又吉 直樹 (著) (文藝春秋)
 芸人である著者が芥川賞を受賞したと話題になった作品。文芸作品の売れ行きが低迷したことで若い読者層を引き込もうとの意図があったのかもしれません。それゆえに批判もありましたが、過去の芥川賞受賞作品とは全く異なるライトで精悍な売れない芸人の物語。何度も壁にぶつかりながらも、一生懸命にハードルを越えていく姿に涙してしまう作品です。お笑いの世界の本質に迫った密度の高い作品。ブームが落ち着いた今こそ、未読の方は是非手に取ってみてください。

 

 最近の傾向として「九十歳なにがめでたい」などご年配の方のエッセイの売れ行きも良いそうです。思ったことを率直に表現でき、思想を分かち合うことができる本。それは自由の象徴でもあります。読書の豊かさをこれからの若い人たちにもどんどん受け入れていってほしいと願います。

 

Copyright © ほんのむし All Rights Reserved.

Privacy Policy