地域に根付いた伝統的な豊穣を祈る祭りから、カジュアルな花火大会、縁日まで。夏ならではの楽しみといえばお祭りです。
子どものころ、お祭りの日だけは夜に外出してもお咎めがない特別なイベントでした。夜の暗闇に提灯がともり、浴衣姿で踊ったり屋台をのぞいたり。色鮮やかで賑やかな特別な夏の夜でした。そんなお祭りの雰囲気を存分に味わえる本を紹介いたします。猛暑の夏、クーラーのきいた部屋でお祭り気分を味わうのはいかがですか?
えんにち
五十嵐 豊子 (著, イラスト) (福音館書店)
昭和の古き良き縁日の様子描かれている文字のない絵本。兄妹が神社の境内にでかけていくと縁日の準備が始まり、夜店が並びはじめます。日が暮れると現れるたくさんの人たち。金魚すくい、お好み焼き、わた菓子、ひよこ売り。ドキドキわくわくしながら小銭を握りしめて一店ずつ夢中になってのぞきこんだあの頃にタイムスリップできます。
宵山万華鏡
森見 登美彦(著) (集英社)
京都の祇園祭が舞台の現実と妖の世界が交錯するファンタジーホラーの森見ワールド。神隠し、失踪事件、怪しげな骨董屋とヘタレ大学生たち。様々な事情を抱えて宵山へと迷い込んでいく短編が最後に万華鏡のようにつながっていきます。
華やかな祭りという舞台の裏側の妖しい世界。背筋がゾクゾクするようで、どこかとぼけた雰囲気が可愛らしい物語です。
夏のくじら
大崎 梢(著) (文春文庫)
よさこい祭り発祥の地、高知が舞台。大学進学で高知にやってきた主人公は初恋の人を探すために祭りに参加することに。最初は乗り気ではなかったのですが、個性あふれるメンバーたちと準備をしていくうちに、よさこいの熱波にとりつかれていきます。
若く情熱あふれる青春ストーリー。お祭り大好きな情熱がほとばしるタイプの方にもおすすめの一冊です。
町全体が一緒になって盛り上げるお祭り、通りがかった神社のお祭り。浴衣を着てデートにでかける花火大会。夏だけの特別な思い出を作りたくなるような本です。