お人形はもう一人の私。そして私だけと心が通じる秘密の友達。女の子も男の子も、小さいころお人形遊びをしませんでしたか?
大きくなったらこんな服が着たい、こんなお買い物をしたいと物語を作り上げたり、動物やヒーローのお人形ならペットや童話やアニメの登場人物になぞらえたり。今回は、大切なお友達だったお人形を思い出す本を紹介します。
ドローセルマイアーの人形劇場
斉藤 洋(著) (あかね書房)
このままでいいのかと人生の岐路に悩んでいる高校教師のエルンスト。人形使いの老人ドローセルマイアーと出会い、弟子入りすることに。生きているかのような人形と人形劇という芸術に魅せられていくエルンスト。
「ルドルフとイッパイアッテナ」の著者が贈る、ちょっぴりビターで人生を積極的に生きようと思わせてくれる三部作の一作目。運命のドアがノックされるときの音を聞き逃さないためにも、受け身的に毎日を送ってしまいがちな方に読んでいただきたい一冊です。「アルフレートの時計台」「オイレ夫人の深夜画廊」も併せてどうぞ。
クルミわりとネズミの王さま
E.T.A. ホフマン(著) (岩波少年文庫)
ドイツのクリスマスイブ。ドロッセルマイヤーおじさんからもらった不思議なクルミが混じっています。そこから生まれた動く人形たち。チャイコフスキーのバレエの原作となった古典的児童小説。子どもたちの夢がつまったキラキラとした数奇な運命の世界。
現実がどんなに残酷でも、子どもたちがもつ豊かな想像力があれば希望をもって生きられると思わせてくれるお話です。異世界を描いたファンタジーが好きな方におすすめです。
60’s STYLE BOOK
(宝島社)
リアルお人形さんを眺めたいなら60年代がおすすめ。ミニスカートブームを引き起こしたツィッギー、オードリー・ヘップバーン、フランスの小悪魔女優カトリーヌ・ドヌーヴ、ジーン・セバーグ、ブリジッド・バルドーなどのフレンチロリータが写真つきで紹介されていて、当時のファッションや時代の雰囲気が分かります。
人形劇のサンダーバードも登場します。薄い本ですが、おしゃれでいつでも持ち運べるリアルお人形さんが満載です。
人を模範した人形は、人間とは違った不思議な行動をしたり心を持ったりするからこそ不可思議で面白いもの。空想の世界へ飛び立てるとっておきの本です。