作家・池井戸潤さんがおすすめする本
直木賞を受賞して話題になった「下町ロケット」の作者、池井戸潤さん。人情ものの作品が多いのかと思いきや、なんとデビューのきっかけは江戸川乱歩賞だそうです。
子どもの頃から乱歩の「魔法博士」やアーサー・コナンドイルの「バスカヴィル家の犬」などのミステリーを読み漁っていたそう。
徹底した取材と人の感情の移り変わりを繊細にとらえる視点は日々の読書から影響を受けているそうです。本のセレクトも時代小説から「トムソーヤーの冒険」など児童書まで幅広く、本当に本を愛している作家さんだと思います。ファンの方も是非手に取ってみてくださいね。
剣客商売
池波 正太郎 (著) (新潮社)
池井戸潤さんは、2010年に「鉄の骨」で吉川英治文学賞を受賞したこともあり、過去の受賞作品である「剣客商売」を愛読されていたそう。
江戸時代が舞台の推理小説と時代小説が一緒になったエンターテイメント作品。剣客の宿命を背負った父子の熱い絆に涙する長編です。
陰陽師
夢枕 獏 (著) (文藝春秋)
いわずと知れた安倍晴明が活躍する物の怪話。映画化もされており、いろんなところでパロディーとして使用されているほど有名作品ですが、実際に読んだことがあるという方は意外と少ないのではないでしょうか?
言霊が信じられていた平安時代、物の怪たちとの神秘的なやりとりと独特の世界観が広がります。
長編ですが、和製ホームズともいわれているほど軽快な作品なので、気軽に読んでみてください。
革命前夜
須賀 しのぶ (著) (文藝春秋)
歴史エンターテイメント作品として知る人ぞ知る名作。
バブル時代、まわりに反対されながらも東ドイツに留学をするピアニストの卵、眞山柊史。ドレスデン音楽大会で天才たちに囲まれ切磋琢磨しながら音楽を追求していく姿と、ベルリンの壁崩壊という事件。
重厚なストーリーのなかにキラリと光る青年の成長記録とクラシックが美しく鳴り響きます。
最近は「半沢直樹」など会社員ものを多く執筆されている池井戸潤さん。これからもいろんなジャンルの作品を読ませてほしい作家さんです。