読書の合間に読む本、といったらおかしいですが、活字中毒の方は理解してもらえずはず。本の世界に浸りながらもさらっとさわやかに読み流していい気持ちにさせてくれるそんな短編集を紹介いたします。隙間時間や通勤時間、お昼休みにも手軽に読むことができる本です。
うさぎパン
瀧羽 麻子(著) (幻冬舎文庫)
幼いころに母と死に別れ、義母と暮らす優子がパン屋さんの息子の富田くんとパン屋巡りをする日々。家庭教師の美和ちゃんの体を借りて現れる実母。義理のお母さんの愛情も感じられる悪人が登場しない、ほんわかした青春小説です。表題作のほか、書下ろし小説「はちみつ」も収録。ささやかであたたかい読み心地で、疲れたときに読むと癒されます。
まぼろしのパン屋
松宮 宏(著) (徳間文庫)
軽いタッチで描かれるパン、おでん、ホルモンと人情話が交錯する3編が収録されています。平凡なサラリーマンが通勤電車で見知らぬ老婆からパンが入った袋を手渡される表題作のほか、手術のあと必ずホルモン焼きを食べる外科医、ヤンキーとおでん。硬派な文章で語られるちょっと不思議な世界観がやみつきになりますが、短編なのがまた後味が良いところ。うたた寝をしたときのような爽快感が残る本です。
バー・リバーサイド
吉村 喜彦(著) (ハルキ文庫)
多摩川を見渡せるバー・リバーサイド。人生のベテランマスターの川原、バーテンダーの琉平がおいしいお酒と料理で出迎えてくれる。職場や家庭でみせる顔とは違う素顔の自分がそこにいる。まるで止まり木のような場所。気のおけないバーの友人たちと軽く会話を交わしリフレッシュして帰る。風景描写も美しく、登場するお酒の描写がどれもおいしそうで、読んでいるとバーでリラックスしてくつろいでいるかのよう。シビアな社会で日々戦っている方に読んでほしい本です。
前に読んだ本がテーマが重かった、気分転換をしたいというときにおすすめの短編集です。読書を習慣にしたいという読書初心者にもおすすめです。