マイノリティを理解するための絵本
マイノリティ、つまり少数派の人たちは周りに理解をされずに誤解や偏見を抱かれてしまい苦しむことが多々あります。
難民やLGBT、障害や病気など当人にしか分からない孤独や哀しさがあるものです。
みんなが同じであることを良しとする日本では、いっそう世間の風当たりが強いという傾向がみられます。
今は理解されなくても、まだ偏見がない子どもたちに多様性があっていいんだよということを伝えてあげてください。
そのことがより子どもたちを自由に暮らしやすい社会に作りかえていくことだと思います。
絵本でマイノリティが「当たり前」ということを教えてあげてくださいね。
ひみつのビクビク
フランチェスカ・サンナ (著) (廣済堂あかつき)
ベストセラーとなった「ジャーニー 国境を越えて」の作者による二冊目の絵本。
言葉が通じない国に移民としてやってきた女の子の不安をビクビクと名付けて表現しています。文化が風習が違う国での学校生活は子どもたちにとって大きなビクビクでしょう。大きくなったり、小さくなったりしながら、いつも自分にまとわりついてくるビクビク。
ところがある日、女の子は気づきます。自分以外にもビクビクを持った子どもたちがたくさんいることに…。
他者を理解することから世界が繋がっていくと希望を与えてくれる一冊。アムネスティ・インターナショナル英国支部推薦図書に選ばれています。
マチルダとふたりのパパ
メル・エリオット (著) (岩崎書店)
転校生のマチルダにはパパが2人いることに気がついた親友のパール。
食事に招待されたパールは、パパ2人の生活に夢を膨らませておうちに向かいますが…。
パパがいてママがいる。それが当たり前という常識を覆してくれる絵本。いろんな家族の在り方があって当然です。LGBTの理解が深まるので、頭が柔らかい子どものうちに読んであげたい絵本です。
森のあかちゃん
コゼッタ ザノッティ (著) (BL出版)
森に住むクマの夫婦のもとにやってきた赤ちゃんは真っ赤な魚でした。驚きながらも心を通わせようと懸命になる夫婦、集まってくる動物たちは「クマが魚の子どもを持つなんておかしい」と言いながらも赤ちゃんの様子を観察しています。
夫婦は意を決して森の奥深くの水辺に向かい、一緒に水の中で暮らすのです。
このお話は、養子として引き受けた子どもが脳の難病AHDSだったという夫婦がモデルになりました。巻末には楽しそうに笑う家族の写真があり、病を患っていても生きる尊厳は奪われないこと、愛を抱いて生きている姿が伺えます。
両親の愛情を伝えるための絵本としてもおすすめです。
今は理解できなくても、こういう世界があるんだなと思ってもらうことが必要です。どの絵本も明るくありのままの姿を伝えてくれているので心構えしなくても大丈夫です。
子どもたちが、どんな人にも優しく接することができる大人になってくれますように。