子どもの頃、おばあちゃんの家に遊びに行ったり、遠いところに旅行をしたときのワクワク感や新鮮さ。海外のドキュメンタリー番組を見ていて憧れる「ここではないどこか」への遠い憧れ。長い間慣れ親しんだ文化や習慣とは異なる見慣れない景色や空気、その街で暮らしている人々。ファンタジーの世界にいるような現実世界では味わえない不思議な街。そんな憧れを満たしてくれる本を紹介いたします。旅行が好きな方、想像力が豊かな人におすすめしたい本です。
わたしのしゅうぜん横町
西川 紀子(著) (ゴブリン書房)
旅先で見知らぬ少年に誘われて入り込んだ町。そこは修理専門のお店がずらっとならんだ「しゅうぜん横丁」でした。たんす屋、人形屋、カード屋、刃物屋など古くても愛着のあるものをすべてきれいに修繕してくれます。長く愛され続けてきたものたちのエピソード、職人たちの地道な手作業とともに生まれ変わって戻ってくる宝物たち。アンティークが好きな方にもおすすめしたい温かくも切なさが混じった物語です。
世界のかわいい本の街
アレックス・ジョンソン(著) (エクスナレッジ)
日本で本の街といえば神保町。世界各国にある本の街が紹介された本好きには夢のような世界が広がる本です。イタリアのモンテレッジョ、フランスのキュイズリー、インドのブヒラなど世界のちいさくてかわいい本の街が41か所紹介された写真集です。街と本に関するエピソードや各国の風景が美しい写真とともに紹介されています。子ども専用の子供図書館、暖炉のあるブックカフェ、詩が刻まれた散歩道など世界中に旅したくなること間違いなし。本好きの方は旅行前に必ずチェックしておきたい本です。神保町は古本屋街として番外編で紹介されています。
Michi
junaida(著) (福音館書店)
図鑑のようにずっしりとしたビックサイズの文字なし絵本。男の子と猫、女の子と犬がそれぞれ出発し本の中央で出会います。本のどちら側から読んでも楽しめる絵本。本や楽器の街、海の中の街、おばけの街、サーカスの街など次々に現れる不思議な街、一本の道から始まる未知の世界が広がっています。今度はどの道を通ろうか、男の子と女の子の表情を観察しながら読むのも楽しいです。
生まれ育った街の素晴らしさは意外と見えてこないもの。どこかに旅して帰ってきたときに、退屈だと思っていたいつもの景色を見て安心感を覚えることもあります。文化や歴史、土地の特徴、そこに暮らす人々の知恵で作ってきた街。憧れの街で暮らす自分の姿を想像したり、その街の魅力をゼロから作り出す楽しみを本の中では体験することができます。何度も繰り返し読んで、そのたびに変わる自分の理想像を探し出すのも楽しいかもしれません。