みんなが眠る夜。静かで世界中が寝息に包まれる時間に自分だけ起きているのは特別なもの。特にいつも大人から「早く寝なさい」と言われている子どもたちは、自分たちが眠りについているあいだにおこっている身の回りや世界の出来事に興味があることでしょう。
大人だけが許される特別な時間、それが夜。そんな神秘に包まれた夜を味わえる絵本を集めました。一人で眠りにつくのが怖いというお子さまの読み聞かせにもおすすめです。
おなじ月をみて
ジミー リャオ(著) (ブロンズ新社)
男の子のハンハンのもとを訪ねてきたのはケガを負ったライオン。夜の青い空の下、次々にケガを負った動物たちが訪ねてきます。優しく手当をしてあげるハンハン。世界中でおなじ月をみて、おなじ月の満ち欠けを眺めています。同じ空の下で傷ついている人、平凡に過ごしている人、いろんな人がいます。
台湾生まれで国際的絵本作家の著者が贈るすべての人に届けたい平和のメッセージ。ファンタジックなイラストが優しい祈りを感じさせてくれます。
星空 The Starry Starry Night
ジミー(著) (トゥーヴァージンズ)
孤独な少女と少年の出会い。二人の友情は相手に何かを求めるようなものではなく、ただそばに寄り添うだけで満たされていく安らぎを得る特別なもの。少女は祖父と暮らした山小屋から見える美しい星空を見に行こうと少年を誘います。無力で大人に振り回されてしまう少年少女の葛藤と孤独、絆を描いた美しい作品。映画化もされているので併せてお楽しみください。
シルクハットぞくは よなかのいちじにやってくる
シルクハットぞくは よなかのいちじにやってくる (絵本・こどものひろば)
おくはら ゆめ(著) (童心社)
山高帽にマントをひるがえして人知れずやってくるシルクハットぞく。いろんなおうちに忍び込んでは、そっと布団をかけなおしてくれます。ミステリアスな微笑みと紳士的な優しさを持ち合わせたシルクハットぞく。
]眠っているあいだも見守っていてくれそうで安心できる絵本です。夜空にキラキラ光る星とともにやってくる紳士たちはまるで妖精のように愛らしいイラストで描かれています。
夜は孤独と向き合う時間。孤独に慣れて自由に扱えるようになると大人のステップを一歩踏み出すものかもしれません。夜の静けさと遠い空の下のことに想いを馳せてみるのはいかがですか?