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【メランコニック 本】メランコニックなおすすめ絵本。憂愁の気持ちに寄り添う。

 人間はいつでも元気いっぱいがいい、なんて言われていますが、憂愁の気持ちにしみじみと浸るのも風情があるもの。

そのときそのときの気持ちを大切に、自分の気持ちの動きに身を任せるのが自然の在り方です。無理して笑う必要もないし、悲しいときはきちんと悲しむ。心の底から湧き上がる感情こそ、そのときだけの大切なもの。アンニュイな気分に酔いしれるのもたまには良いものです。今回はそんな憂愁の気持ちに寄り添う絵本を紹介いたします。思い出に、大切なものに想いを寄せて甘美なひとときをお過ごしください。

 

ツキミモザ

ツキミモザ

 ヨシエ(著) (skyfish graphix)
 ハギレアーティストによるリボンやレース、色とりどりの端切れ、ビーズを使った美しい絵本。切ないストーリーが添えられた、黒バックに大輪の花が咲き乱れるような大胆なアート作品。端切れなので、ひとつひとつ模様も色も違うのに全体でみると統一されている不思議な感覚。メランコリックな気分に浸るには美しき感傷が必要。そんなあなたにおすすめしたい一冊です。

 

せなか町から、ずっと

せなか町から、ずっと (福音館創作童話シリーズ)

 斉藤 倫(著) (福音館書店)
 悠々と広い海を泳ぐマンタ。マンタはおじいさんになり、動けなくなってしまいました。そして、その背中に町が誕生したのです。マンタの背中とは知らないで島で暮らすちょっぴり風変りな住人たちの小さな物語。「名まえをおとした女の子」「カウボーイのヨーグルト」「ルルカのなみだ」「麦の光」「はこねこちゃん」が収録されています。穏やかだけどすべてがハッピーエンドではない大人のための詩情あふれる童話集です。

 

ひとりひとりのやさしさ

ひとりひとりのやさしさ

 ジャクリーン ウッドソン(著) (BL出版)
 ある日転校してきたのは貧乏な女の子マヤ。主人公の男の子はマヤに笑いかけられても笑い返さず、遊びに誘われても無視してしまいます。クラスメイトたちの冷たい対応、去っていくマヤ。いけないことだと分かっていても、無知だったからこそ優しくする勇気がなかった後悔。先生のひとことがさざなみのように染みわたりほんとうの優しさを知るまでのおはなし。ヘビーな内容ですが、人の心の奥底では誰しもが持っている醜い感情なのではないでしょうか。懺悔したい気持ちのときに読むと心がクリアになります。

 

よるのかえりみち

よるのかえりみち

 みやこし あきこ(著) (偕成社)
 おかあさんに抱っこされて帰るウサギの男の子。真っ暗な道に家の明かりが灯ります。あの家はどんな夜を過ごしているのかな、おともだちは家族のぬくもりを感じているのかな。夜が恐かった子ども時代、大人がぎゅっと抱きしめてくれたときの温かさを感じる絵本。夕暮れ時、どこかの家から漂ってくる夕飯のにおいを嗅いだときのうような寂しさとぬくもりを欲した気持ちを思い出させてくれます。

 

 悲しい気持ちのときは、世界が繊細にきらめいて見えたり、道端に咲いている草花にさえ美しさを感じたり。いっそう美しい世界に入りこむことができます。新しい発見に心震わせてくださいね。


 

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