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【村上春樹 面白い amazon】村上春樹作品の文体、孤独感を短時間で味わいたい方へおすすめの本

「ノルウェイの森」「1Q84」などで有名な村上春樹氏の小説を読んでみたいけれど、あまり時間がないので短時間で読めるものはないだろうかと考えている社会人の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは短時間でも村上春樹氏の作風を楽しむことができる4作品をご紹介します。

 

「神の子どもたちはみな踊る」

神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)

1995年1月に起こった阪神・淡路大震災を背景にして、6つのストーリーが語られます。この本の特徴は、どれも阪神・淡路大震災にどこかで間接的に繋がっているのですが、直接大震災の舞台が描かれたり被災者が描かれているわけではないことです。
テレビに映った大震災の様子を見た妻が出て行ってしまう「UFOが釧路に降りる」や神戸市東灘区に妻子を置いてきた男性が登場する「アイロンのある風景」など、主人公が被害にあったりした訳ではないけれど、大震災が影響を及ぼして深い闇や孤独感を作り出しています。どの話の登場人物も、突出した何かがある訳ではなく、ひっそりと日常生活を送っている普通の人々ですが陰のある人物ばかりです。
最終話「蜂蜜パイ」は、不器用な男性の純粋な愛が描かれていますが、暗い登場人物が多い中でこの作品だけは最後に幸せな結末を予感させ、心が晴れやかになります。

 

「風の歌を聴け」

風の歌を聴け (講談社文庫)

村上春樹氏が群像新人賞を受賞したデビュー作です。この作品は大森一樹監督、小林薫主演で映画化されています。
「風の歌を聴け」は、「1973年のピンボール」や「羊をめぐる冒険」とともに「鼠三部作」とされています。しかし「風の歌を聴け」だけでも楽しむことができます。この小説には主人公が過去に付き合った女性の暗い経歴など、暗い内容も書かれています。普通ならば重く描かれることが多い「死」についても、この作品中では深く掘り下げるのではなく、軽いタッチで書かれています。
本の楽しみ方は人それぞれ異なりますが、初めてこの作家の作品を読む時は心で感じるままに軽く読むことをおすすめします。
この本は話題が変わるテンポが早く、それぞれの関連性に答えを探そうとしても見つからないかもしれません。答えを見出せないまま読み終わってしまうこともあるでしょう。しかしこの小説は、何かの答えを見出すことが目的ではなく、若者たちの一夏の思い出が軽いタッチで書かれた作品だと割り切って読むことをおすすめします。

 

 

「1973年のピンボール」

 

1973年のピンボール (講談社文庫)

「風の歌を聴け」の続編です。「風の歌を聴け」では登場しなかった人物も登場します。主人公と「鼠」は少しずつ変化していきますが、前作同様、それぞれの関連性に答えを探そうとしても見つからないかもしれません。明確な答えは用意されていないように思います。

 

「羊をめぐる冒険(上)(下)」

羊をめぐる冒険

「風の歌を聴け」や「1973年のピンボール」は現実的な設定で描かれた作品ですが、この作品の続編である「羊をめぐる冒険(上)(下)」は、非現実的な設定でストーリーが進められ、より創作要素が高い作風になっています。「1973年のピンボール」を読んだ後に主人公や「鼠」のその後を知りたいと思った方には「羊をめぐる冒険(上)(下)」をおすすめしますが、特に主人公の動向などは気にならないようであれば、「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」を読むだけでも村上ワールドを満喫することができます。

 

さいごに

村上春樹氏のこれらの作品は、孤独感などに共感することはあっても、明るい未来や生きる喜びなどを感じ取ることは難しいかもしれません。しかし読み終わった後に暗い気持ちにならないのは、ストーリーのテンポが早く、文章が読みやすいからではないかと思います。村上春樹氏の作品を初めて読む方におすすめの3作品です。

 

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