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【クロコーチ】刑事漫画の最高峰「クロコーチ」を紹介、ネタバレ。三億円事件や議員不祥事に往年の有名事件を絡ませた大傑作!

クロコーチとはダーク刑事漫画!

 

TOKIO・長瀬智也主役でドラマ化

クロコーチ Blu-ray BOX

 

漫画を読んでいて、時折この作品って本当に凄いって感じる事が稀にあります。それが私にとっての「クロコーチ」で、残念ながら単行本全23巻をもって連載終了していまい、TOKIO・長瀬智也さんが主役でドラマ化されましたが、大きな話題となる事はありませんでした。

しかし、「クロコーチ」は紛れもなく傑作中の傑作で、推理小説や犯罪やミステリーなどが好きな者にとって、掛け替えのない作品となったのです。

 

真っ当な刑事には思えない悪事のオンパレード

主人公のクロコーチこと黒河内は、坊主頭にぎょろっとした両目が特徴の問題刑事。どことなくこち亀の両さんとゴリラーマンを合わせたキャラで、序盤などは真っ当な刑事には思えない悪事のオンパレードばかりです。しかし、それが終盤に向けての大円団を迎えるのに重要な役目があり、個人的にも感慨深いものがあります。

 

全体を通してテーマが一貫している

この手の犯罪を扱った作品だと、犯人の虐殺シーンなどの描写だけがグロテスクであるが推理や謎はお粗末。または、刑事や探偵の名推理をアピールものばかりで、大半はコメディ調など、残念な作品が多いのも事実ですが、このクロコーチはそのあたりのバランスが長けているだけでなく、最初から最後まで全体を通して一貫したテーマが漂っています。

 

実在した事案と黒幕の関係がリアル

だから、作品で登場する三億円事件や警察庁長官銃撃事件、M資金問題など実在した事案をそれぞれ絡ませながら最後の黒幕まで結びつかせるのは、本当に一読者として何とも言えないワクワク感がありました。

※漫画雑誌「ゴラク」にて、2012年から2018年まで掲載された未解決事件の謎に迫っていく異色の犯罪漫画。原作:リチャード・ウー氏、作画:コウノコウジ氏。リチャード・ウーという名前は別名義であり、長崎尚志として浦沢直樹作品の「モンスター」や「20世紀少年」など多くの名作に携わっているので、そちらの方が有名でありお馴染です。

 

全体のあらすじ

悪徳な最悪警官クロコーチ

県警始まって以来の悪徳な最悪警官であり、誰よりもずる賢く上司にも尻尾を掴ませないクロコーチと、そんな彼を内偵する事になった新人エリートの清家。

新人エリートの清家と未解決事件を解決

そんな二人がいつしか、心を通わせて互いの因縁の為に、巨悪の未解決事件を解決していきます。一つの大きな事件が終わっても、それは実は序章であり、さらなる事件の幕開けに過ぎなかった。

背後には秘密結社「桜吹雪」、「スサノオ」

序盤はWEBデザイナー一家惨殺事件から始まり、そこに県警も関与していた三億円事件や背後の秘密結社「桜吹雪」、カルト宗教団体による警察庁長官銃撃事件、秘密結社「スサノオ」が動き出し、これで謎が解明すると思いきや再び最後の謎である沢渡一成との全容解決に向けての対決となっていきます。

 

登場人物

黒河内圭太

坊主頭に太眉、傍から見るとヤクザにしか見えない通称クロコーチ。本作の主人公で県警捜査二課に所属する警部補。警察内では「県警の闇」「怪物」と恐れられ、一刑事ながら高級外車数台を所有するなど羽振りが良い。警察庁長官など大物とも顔馴染で、無理難題を押し通せる間柄と何かと謎が多い。拳銃の腕前が達者、口先上手、時折出すゴマすりも効果的。

 

清家真吾

ドラマ版では剛力彩芽さんが演じた、東大卒の若きエリート警視。悪を許さない、根っからの真面目な警察官の代表とも言える存在。クロコーチが問題を抱える黒刑事なら、対する清家は真っ白で純潔な白刑事となる。本来はクロコーチより階級も立場も上になるが、そんな二人が何かと行動を共にする事になる。

 

沢渡一成

クロコーチを名作に仕立てた重要人物。元警察官僚、現職神奈川県知事しかしその裏の顔は恐ろしい犯罪者で、数々の殺人事件に関与している疑いがある。また、終盤では更なる因縁や本性が暴かれる。

 

城尾平蔵

クロコーチを盛り上げる重要な悪人の一人。沢渡同様に年齢は70代前後だが、秘密組織・桜吹雪会を設立するのに三億円事件を利用するなど謎が多い。

 

高宮健太

クロコーチが困った時に何かと手を借りる元極道。強面の外見とは裏腹に、実は男性がタイプのようで清家に好意を寄せている。

 

浅黄

物語終盤から登場する、クロコーチの部下となる女性刑事。過去の因縁からある男を敵対視し、それがクロコーチの命運も左右する事に。

 

おすすめポイント! ここに注意すると更に面白い!

悪徳刑事は本当に悪人なのか? 警察は常に正しいのか?

悪徳刑事は本当に悪人なのか? 警察は常に正しいのか? 未解決事件の背後には何が隠されているのか? そして、実際に過去に発生した事件と、クロコーチ上で描かれる事件について注目をすると、この作品が何倍にも興味深くなります。

日本が抱える闇

そこには、日本が抱える闇を漫画を通して問題提唱する作者の狙いがあり、作品序盤は単なるこじつけだと思っていたのが、実はあの事件もこの事件も、実はこんな裏があったのではと疑いをかけてしまいます。それどころか、実は作品としてオブラートに包んでいるだけで、実際の事件の方がもっと描くには訳ありで、日本が崩壊するような究極の闇が隠されているように思えてなりません。

なぜクロコーチは命を懸けてまで闘うのか?

クロコーチは犯罪を解決する為には、悪人を殺すのも躊躇しません。また時には、ある人物を脅迫し、金を求めて、容赦なく断罪する。刑事と言えども、単なる公務員なのに、なぜここまで突き動かすのか? 命を懸けてまで闘い、その先には何が待っているのか?そんな事を考えながら、クロコーチを読み耽る事をおすすめします。

個人的には、近い将来ハリウッドで映画化も十分あり得ると思っているので、皆さんも注目をしてみて下さい。

 

各巻毎の感想!

 

1巻~6巻:三億円事件の黒幕

序章としてWEBデザイナー一家殺人事件があり、そして三億円事件とその黒幕でもある秘密組織・桜吹雪会とのスリリングな攻防が描かれています。あまりにも濃い内容と、昭和最大のタブーである三億円事件をここまで独自解釈したのに、只々驚きました。

三億円事件を題材にした漫画は、「モンタージュ」「府中三億円事件を計画・実行したのは私です。」などがありますが、独自解釈と後にも続く構成力では、クロコーチが抜群に際立っています。

 

6巻~12巻:「大人は判ってくれない」の内情に迫る

警察庁長官銃撃事件とテロ組織「大人は判ってくれない」の内情に迫る内容です。クロコーチが想像していたよりも、警察の闇は深く、そして沢渡もとんでもない化け物だった。ある意味で、この”話”をドラマ化しなかったのは正解だと思っています。それほど、ちょっと衝撃を与える内容で、漫画とはいえここまで赤裸々に語ってよいのか不安に思ったほどです。オ○ム真理教と公安など当時の状況を知っているだけに、実際はどうなのか分かりませんが、クロコーチ解釈が真実なのではと今では思っています。

 

12巻~17巻:「スサノオの桜」の真相

戦後の混沌時期に誕生した秘密結社「スサノオの桜」の真相を解明したクロコーチと清家だが、その代償も大きかった。清家は愛する上司と親しい後輩の二人の女性を一度に失い、呆然となる。これまで、決して順調とは言えなかったが何とか乗り切ってきた二人も、ここで大きな転換期を迎える事になる。事件が解明するほど、何かがどんどん遠くなり、身の危険も危なくなる。

 

17巻~23巻:怒涛のクライマックス

物語の最終章であり、全ての謎が結びついて怒涛のクライマックスへと突っ走ります。クロコーチがこれまで悪事を働きながらも、事件に向き合ってきたのも、全てはこの男・沢渡との因縁を晴らす為だったのです。壮絶な過去が遭った事も判明し、長かった極悪刑事による一大物語が幕を閉じたのです。

 

何度読み返しても驚きの発見

個人的に思ったのは、何度読み返しても驚きの発見があり、そして伏線回収も巧みという事です。この辺りは、長崎尚志氏が浦沢作品でも本領発揮しているので理解しているつもりでしたが、それでも最初から最後まで練り上げていくのは脱帽です。

 

クロコーチと沢渡の因縁

記念すべき1巻の第一話と23巻の最終話を読むだけでも、クロコーチと沢渡の因縁が判明するのですが、それをここまで我慢して引っ張るだけ引っ張るのかと思ったものです。だからこそ、その前のクライマックスとなる報復シーンがあるのですが、普通はここで終わるのが通常の映画や漫画です。

それでも十分過ぎる完成度なのに、その後の物語の締めが巧みすぎるので、クロコーチを別格の刑事物語に祭り上げているのです。あれだけ嫌われていた設定なのに、仲間たちがクロコーチを庇うシーンなどは、彼が県警一の悪徳刑事や極悪と呼ばれていたのすら、大きなフラグであったと思えてなりません。

 

まとめ 

漫画の主人公はその殆どがイケメンの部類に入ります。そうでないと、若者や女性、子供などにウケが悪いからでしょう。私は何度も、クロコーチが表紙の「ゴラク」をコンビニや書店で手に取ったり見掛けた事がありますが、この強烈な悪人顔はまるで「アウトレイジ」より性質が悪く、好きな人以外は興味が出ないと、苦笑いをしたものです。

でも、見掛けだけで判断をしてはダメだと、再認識をしたのも「クロコーチ」です。未解決事件や警察不祥事が大好物な人なら、文句なしに大推薦できる本当に類稀な超大作です。最後に付け足すなら、内容も当然100点満点ですが、怒りを抑えて笑みを浮かべるクロコーチの何とも言えない表情を描ける作者:コウノコウジ氏の画力にも注目と称賛を届けるべきです。

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