紳士淑女の飲み物、ワイン。口に含んだときに広がる香り、銘柄によって異なる舌ざわりや味の繊細さ。刺激的でどこか官能的で人々を魅了します。今回は、ワイン好きの方はもちろん、ワインに興味はあるけどアルコールが飲めないという方におすすめの読むだけで酔いしれる、濃厚で大人の魅力がある小説を紹介いたします。
「東京ワイン会ピープル」
樹林 伸・作
ワイン漫画「神の雫」の原作者が描くワイン小説。不動産会社勤務のOLが、ある事件をきっかけに様々なワイン会を巡るというストーリー。東京のワイン会のおしゃれな様子やワインの基礎知識も学べるお得な一冊です。ワインの味に関する表現も想像力豊かで、読んでいると産地や香り、味もイメージできる極上の一冊です。
「ヴァン・ショーをあなたに」
近藤 史恵・作
変わり者のシェフ三舟さんは下町で小さなフレンチレストランを開いています。シェフの名推理、毎回おいしそうな料理がキーワードとなって事件を解決していく「おいしいミステリー作品」です。『タルト・タタンの夢』の続編で、フランス留学時代のエピソードも描かれています。お客さん側からの描写もあり、前編を読んだ方も、さらに「ビストロ・パ・マル」の世界観を楽しめます。シリーズものですが、どの本から読んでも大丈夫。スパイスの効いたホットワイン、ヴァン・ショーをおともにこちらの一冊をどうぞ。
「ワイン一杯だけの真実」
村上 龍・作
ワインにまつわる八人の女性が登場する甘美なストーリー。オーパス・ワン、ラ・ターシュなどの有名な銘柄のワインに沿ったそれぞれの短編で、ちょっと大人の雰囲気が漂い酔いしれる気分になれる一冊です。フランスでは女性をワインに例え、熟成するほど魅力が増すといわれていますが、そんな表現がぴったりな女性の多面性が描かれていて、一筋縄ではいかない、そんな複雑さや官能さもワインにぴったりです。
どれもオシャレで、ちょっと背伸びしたくなるような本です。大人の女性はもちろん、ワイン好きの方はコメントの練習に表現力を勉強するにももってこいの本です。