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【奇書 おすすめ】日本の奇書・珍書おすすめ3選。価値観崩壊マチガイなし!

世の中には奇書というものが発刊されています。日本においては、奇抜・不可思議なアイディアや設定を取り入れた本のことであり、主にミステリー関係の書物を指すことが多いようです。

日本三大奇書と呼ばれるものに夢野久作「ドグラ・マグラ」、小栗 虫太郎「黒死館殺人事件」、中井英夫「虚無への供物」の三冊があります。

その他にも奇書と呼ばれるものは各分野に多くあると思われますが、今回はとびっきりの奇書(珍書?)でありながら名著と名高い本を紹介してみます。

 

「気違い部落周游紀行」

気違い部落周游紀行 (冨山房百科文庫 31)

それがきだみのるの「気違い部落周游紀行」。きだみのるは小説家・翻訳家であり、本名の山田吉彦で訳した「ファーブル昆虫記」は名著と知られています。

<気違い><部落>などの文字が入っているのでこのような本が今出版されたら袋叩きになるのが目に見えていますが、そのような意図はまったくなく、一種の民俗学のようなルポルタージュになっています。

著者が東京の山奥の部落で戦中から戦後しばらく暮らした体験を下敷きにしたもので、そこで出会った村人たち、風習、自然などについて描かれています。

ふだんは人の良い村人も、傍から見て一見つまらないような事柄、例えば芋の頭の部分としっぽではどちらが美味いかなど、自分の沽券やあるい利害関係に関わってくるなると本性といえるものをむき出しにします。

大きな事件は起きませんが、人をだまして抜け駆けしたり、足の引っ張り合いがあったり、戦中戦後の助け合わねば生きていけない時代にあっても狭い村の中ではちょっとした事でも何かしらの問題が巻き起こります。著者はそれを糾弾するのではなく、そのような心の持ち様は村人だけでなく日本人全体にある特質であり、自分の中にももちろんあると著者はいいます。

 

「愛より速く」

愛より速く (新潮文庫)

斎藤綾子の「愛より速く」は実体験を基にした一種のポルノ小説。

この本が出版された1980年頃、ポルノ小説の類は男が男性側目線で書くのが普通だったのが、女性がこのような赤裸々な小説を書いたというだけでも驚きの出来事だったようです。

主人公が自由奔放に性を愉しむストーリーで、男を単にセックスを愉しむ道具としての存在と捉え、それまでの男性主導の男女関係を哄笑するように描いています。卑猥な単語もてんこ盛りですが、それでいて猥雑で陰湿にならないのは乾いたユーモアと軽やかな文体をもって描かれています。

この本が「新潮文庫夏の100冊」に入っているのを見た時、「チャタレイ事件」や「四畳半襖(ふすま)の下張事件」を知っている読書歴が長い人はコシを抜かしたのではないでしょうか?

 

チャタレイ夫人の恋人

 

四畳半襖の下張・裁判 (1976年)

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