お茶の間にテレビがあって、夕食後は家族揃って熱中して観ていた昭和の時代。
流行歌や流行語はテレビから生まれ、世代に関係なく誰でもが同じ番組や歌に夢中になっていた、テレビの黄金時代がかつてありました。
今回はそんな歴史が振り返るとともに、よく描かれているおすすめ3冊を紹介します。
テレビが輝いていた伝説の時代。テレビの裏面史を知ることができます。
「テレビの黄金時代」
作家の小林信彦の「テレビの黄金時代」はテレビが娯楽の中心であった1960年代に、テレビの裏方(時には出演者)として支えていた著者が見たテレビの裏面史です。
ミステリ雑誌の編集長だった小林信彦は西洋の映画や小説、ギャグに造詣が深く、その知識を買われて初めはブレーンとして新番組立ち上げに関りを持ち、雑誌社を解雇された後は放送作家として活躍します。
そこで出会った人も裏方では永六輔、大橋巨泉、前田武彦、タレントでは渥美清、植木等、坂本九、コント55号など、芸能史にサンゼンと輝く多士済々ぶりです。
1960年代はテレビ黎明期
1960年当時はテレビは黎明期でそこで働く人は番組作りの方法論もなく、パイオニアとして手探りの状態にあり、作り手側は知恵と汗を絞って日夜奮闘します。
そんな時代、面白い番組を作るなら世間の目を気にせず、予算を無視し、会社上層部やスポンサーとの対立も辞さない姿勢の作り手が数多くいました。
小林信彦は恐るべき記録魔ともいうべき人で、映像(当時はフィルムは高価で何度も使いまわすため)が残っていない当時の人気番組の完成までの悪戦苦闘を、自分の資料をもとに達意の文章で描いて見せます。
名ディレクター井原高忠
小林を助っ人に「九ちゃん!」という番組を作り、後に「巨泉×前武ゲバゲバ90分!」「11PM」などの有名番組を手掛けたのが日本テレビの名物ディレクターであった井原高忠。自分の番組にもたびたび顔が映し出され、局側の人間がテレビに出たハシリのような人です。
「元祖テレビ屋大奮戦!」
井原は熱血漢でカリスマ性があり、局側の人間としてテレビの黄金時代を作り上げた人で、「元祖テレビ屋大奮戦!」という著書があります。
テレビの黄金時代に音楽方面に君臨したのが多くの売れっ子タレントを抱えた渡辺プロダクション、このナベプロ抜きには音楽番組やバラエティー番組は作れないほどでした。
この一社独占状態に反発して対抗したのが井原であり、作詞家の阿久悠です。
「夢を食った男たち」
夢を食った男たち―「スター誕生」と歌謡曲黄金の70年代 (文春文庫)
阿久悠には「夢を食った男たち」という著書があり、音楽方面からのテレビの黄金時代を書き記しているので、こちらも当時のテレビ業界を裏側を知るにはオススメの本といえます。