ほんのむし

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【社会人 おすすめ 本】必読ビジネス本50選。スキルアップしたい、20代社会人へ。

今回は、今おすすめのビジネス書を紹介いたします。

キャリアアップ、スキルアップしたい社会人におすすめです。

 

 

1.リーダーの値打ち 日本ではなぜバカだけが出世するのか?

 

リーダーの値打ち 日本ではなぜバカだけが出世するのか? (アスキー新書)

山本一郎
アスキー・メディアワークス

本書を読んでいると、日本の組織というものはほとんど進化していないのではないかと思ってしまいます。

経営学やマネジメントの参考書などでは、ビジョン等の重要性などが立派に解説してありますが、現実のサラリーマン的視点からは、本来のビジョンを語るリーダーが如何に少ないか、本書を読むと理解できるでしょう。

前任者を否定出来ない環境など、本書で指摘している項目については多くはうなずける内容です。現状に不満のあるサラリーマンには、本書がかなり代弁してくれているように思います。自分が将来馬鹿なリーダーにならないための予防線として一読しておくと良いかも知れません。


2.情報の呼吸法

情報の呼吸法 (アイデアインク)

津田 大介
朝日出版社

著者の発信するツイッターを拝見している者としては、今までの著者の活動や行動から、本書の内容は良く理解できます。

明らかに一次情報(例えば会見垂れ流し)といえどもネットを使うことで得られる時代になったことは確かです。情報を編集したり加工したりしていることがよりはっきりと把握できることが確かになりました。そのような環境で、情報をどう判断し活かしていくのかを考える上では、著者の経験は大変参考になります。

著者は単にツイッターやSNSやブログなど、情報ツールの最先端を解説するだけでなく、本を読む価値など、基本的なことが重要である点も忘れず記述してあるところには好感がもてます。


3.大学教員 採用・人事のカラクリ

大学教員 採用・人事のカラクリ (中公新書ラクレ)

櫻田 大造
中央公論新社

社会人から大学教員への道を模索する際、専門性と学位など、求められているものを満たす必要があります。本書は、それら一般にはわからないところを丁寧に解説している点で参考になります。

また、公募と言いながら既に大学側が意図している人材がいる場合はど、様々な慣例やカラクリも理解できる。更に海外で学位を得て帰国する場合も採用に有利な場合と、専門分野によって採用に不利な場合があることも解りました。

人口減少で大学の淘汰や生徒数の満たない大学も増えるかもしれません。しかしそんな中にあって、一番興味をひくことは、現在の大学教員に占める団塊の世代の退職において、ここ数年は採用が増えるような内容でした。

勤め人をしているとなかなか充実した論文を仕上げるのは難しい現状があります。将来を考える上では大変参考に出来る書でした。


4.まじめの罠

 

まじめの罠 (光文社新書)

勝間和代
光文社

「まじめの罠」なかなか面白い言葉です。まじめにハマってしまうと、人間、時として目的や理想と異なる結果を招くことがあります。これはクリティカル・シンキング、ゼロベース思考が出来ていないことにもよります。

なぜそうしなければならないのか、自分の頭で考えずに、今までの現状に流され、それを唯一の方法と思って疑わないことは、もう既にまじめの罠にハマっていることを意味します。

このまじめの罠には外部要因と内部要因とで成立し、前者はそれを生み出す生態系が社会に埋め込まれているといいます。後者は大局観を育む能力を失ってしまうといいます。これは現在の多くの事象を説明することができます。このことが端的に現れるのが、著者も記述している、異質なものを排除する社会でもありましょう。


5.日本人の9割に英語はいらない

 

日本人の9割に英語はいらない (祥伝社黄金文庫)

成毛眞
祥伝社

本当に仕事として英語がなければやっていけないものは、1割のみで残りの9割は英語は必要ないと言い切ってしまう面白い本です。

著者は、TOEFLの点数でアジア地域で日本が不甲斐ないレベルにあるのは、かつて植民地などの影響を受けてないことなどを例に出します。

日本では英語が話せる人を「できる人」と思われているけれど、それは全く違うと説明します。日本語では多くの学問を日本語で説明することができることが素晴らしいことであるといいます。

本書は、本を読む人の率にも言及しており、東大すら漫画やコミックの類が優勢を占める状態に悲観的な記述をし、思考が磨けていないと論じます。

全体を通じて、英語を覚えるよりも大切なことが色々とあることを理解させてくれます。単に英語が話せるだけでは意味がないことを悟してくれる本です。


6.渋沢栄一逆境を生き抜く言葉

 

[オーディオブックCD] 渋沢栄一 逆境を生き抜く言葉 (<CD>)

渋沢 栄一, 池田 光
イースト・プレス

渋沢栄一の言葉の節々から、重要な意味を紐解き、それを教えとして共有する書としては一読して損はありません。

彼の考え方として評価できるのは「論語と算盤」、つまり企業の利益追求と社会的責任や企業倫理は一致するのだと主張しているところです。本書でもp.36に掲載されています。更に「論語と算盤」に関して、p.166でも触れられています。ここでは孔子は富の獲得を否定していないが、後世の学者は富と道徳とは一致しないと解釈してしまったと、荻生徂徠の『論語徴』の記載をもとに解説しています。その当時の戸惑いが、未だに根強く残ってしまったのかも知れません。

人生を惰性で過ごしそうになったとき、軌道修正のために読んでみると何か掴み取れるかも知れない、そのような本です。


7.米国製エリートは本当にすごいのか?

 

米国製エリートは本当にすごいのか?

佐々木 紀彦
東洋経済新報社

実際に米国での学生生活を体験したことが基となっている本であり、そこでの実感が文章を通じて語ってくれます。

実際、アメリカでの教育の機会に立ち会っていない人が、米国の教育は素晴らしく、日本の教育は劣化していると国内事情だけで判断していたり、大卒の就職率が悪いのは日本だけのような論調も多いです。

本著は、決して就職率が悪いのは日本だけでなく、米国は一流大学卒であっても深刻であること、成績が悪いと退学というのも神話らしいなど、なかなか興味深い。特に興味深かったのはリスクへの考え方を「クイズ・ミリオネア」を用いて述べている部分です。結局、日本は細かいリスクの段階では意見を言わず、事が大きくなって大きなリスクを取りに行ってしまうというものです。昨今のあらゆる事象にも当てはまるような気がします。

米国の教育や人材育成に興味のある方は、ぜひ一読しては如何でしょうか。


8.死ぬまで仕事に困らないために20代で出逢っておきたい100の言葉

死ぬまで仕事に困らないために20代で出逢っておきたい100の言葉

千田 琢哉
かんき出版

本書を読んで基本に帰らなければと悟られるフレーズが、ところどころに散見されます。

例えば、「雑用から逃げると、死ぬまで雑用させられる」など、死ぬまではオーバーではあるが、確かに雑用から逃げると、逃げた分、更に雑用に追われることは多いです。

また、情報においては、いくら情報技術が発達しても、情報を知恵に昇華させていく過程は、人間にしか出来ないという説明は正しいです。「自称情報通に、情報通はいない」とか「最後の決め手は、いつも一次情報」なども妙に納得してしまいます。

他にも納得出来るフレーズも多く、サラリーマンならどなたでも手にとって一読してみると、これまでの反省も含め、勉強になるでしょう。


9.アイデアのつくり方

アイデアのつくり方

ジェームス W.ヤング, 今井 茂雄
ティビーエス・ブリタニカ

この薄い本の中に、アイデアをどのように創造していくのかというエッセンスが詰まっています。

基本的には、アイデアとは既存の新しい組み合わせ以外の何ものでもないと著者は理解します。よって新しいことを見出すためには、どのように組み合わせを生成できるかがキーポイントです。

アイデアはデータ(資料)収集、データの咀嚼、データの組み合わせ、発見の瞬間、アイデアのチェックで行われるのである。他の専門書や参考文献を読み進めても、現在のところこれ以上に明快で簡潔に理解できる本はありません。

本書は、広告、出版、放送、コンテンツ、芸術、製品など、創造的な工程が欠かせない仕事を持つ人には、一読をお薦めしたい本です。


10.敗者の錯覚—あなたの努力が実らない40の理由

 

敗者の錯覚 あなたの努力が実らない40の理由

鈴木 信行
日経BP社

敗者は敗者なりの慣習を持っているのではないか?そのように感じて本書を読むと面白いです。

本書のはじめに著者は、成功者は、顧客を囲い込む、年末に一年を振り返り反省する、新製品が売れなかったときに「売れない理由」を分析する、ことをしないといいます。一見,これらの行為は企業が当然に行うことのように思いますが、確かにそれで新製品が売れるかという点においては、あまり意味をなさない錯覚です。われわれは、一見正当な行為のように感じますが、それが本質とずれていることには意外と気づかないものです。

本書は、右ページに大見出し、左に図解やグラフ、次の見開きに解説文、という構成になっており、簡潔で読みやすいです。


11.成功をめざす人に知っておいてほしいこと

成功をめざす人に知っておいてほしいこと

リック・ピティーノ
ディスカヴァー・トゥエンティワン

自尊心を持って、ひたすら愚直に努力することこそ、人生において重要であることを語っている書です。

それは、あくまで自身の信念により、決して他人に責任転嫁する生き方ではありません。

本書は、各項目ごとに簡潔に読み進めることができます。また、各章の最後に、キーポイントと簡単なまとめが記載してあり、内容をふりかえることができます。

人は、自身の生き方は正しいと思うのは常ですが、本書を通して、「本当にそうか」確認する意味でも一読しておくと、良い軌道修正になるやも知れません。

自分を律するのに疑問を持った時に読むと、言葉がしみいる感覚が納得できるでしょう。


12.働かないアリに意義がある

働かないアリに意義がある (中経の文庫)

長谷川英祐
メディアファクトリー

本書は、アリの生態に関する内容の本です。しかし、序章に「ヒトの社会、ムシの社会」とあるように、その生態を、ヒトと比べることで多くの考察を得られます。

アリはキリギリスに比べると働き者である感覚を私たちは持っていますが、実は7割ほどは休んでいること。また、アリの世界では「上司」や「管理職」はいないが、個々のアリには「反応閾値」があり、この感度が行動に影響しているらしいです。フラットな組織での人々の行動とも比較してみると面白いです。

アリが末永く存続するためには、全員が一斉に働くことがないシステム(pp.76-77)が用意されている点など、組織維持に関して興味深い考察も得られます。つまりは、一斉に右向け右でことをなす日本的な慣行は、多様性がないため、一度そのシステムが機能しなくなった時は、すべてにおいて影響がでることを示しています。

本書は、群れと個に関する考察など、アリの生態をみることで、組織管理や人的資源管理、リスク管理など、最近の経営学の主たる分野における内容を比較して学ぶことができます。


13.40歳までに手放す3つのこと

 

40歳までに手放す3つのこと (経済界新書)

東 茂由
経済界

著者は、何かを得るためには、何かを捨てることを提唱します。この捨てるというのは、諦めるという意味ではなく、人生を攻め、更なる高みに挑むために、捨てる必要があると説きます。

その手放すものとは、仕事、人間関係、自分の3つです。仕事は、業績、肩書き、経験など、人間関係は、周囲の期待、くだらない関係など、自分は、プライド、価値観、思い出などを指します。

自分の作り続けたスタイルを捨て続けることでピカソの作品は高い域に達したことなど、エピソードも豊富です。著者の引用する書籍は、斎藤孝氏などが多く、決して学問的にも十分な裏付けがあるかは疑問の余地がありますが、それでもこれからの人生を、リスクをとってでも前向きに生きようと志向する点では、多くの共感する部分があります。

しかし、本当に手放すには、かなりの勇気と決断が必要ですが、その勇気と決断の先に、後悔しない生き方という、かけがえのないものが得られるのではないか、そう考えたくなる内容でした。


14.目的志向 −ファクターUがあなたと会社を変える−

目的志向 -ファクターUがあなたと会社を変える-

加藤 元
総合法令出版


会社員である著者が、日頃感じ取った事柄からの考察であり、企業の目的から論を展開することに新鮮味を感じました。多くの書籍は、ドラッカーの影響が強いのか、企業の利益に関しては強く論を張ることは少ないです。

本書は、その点、利益の重要性とともに、利益一辺倒ではなく、福利貢献も目的に値すると論じている点に好感が持てます。ここでは福利貢献と呼称していますが、基本的には企業の社会的責任という価値観も含むのでしょう。

本書では、キーワードとして「ファクターU」という用語を用います。これは「理解」や「理解の度合」を示し、心理や真実に対する確信を伴った深い理解であるといいます。よって、このファクターUは、感情とも繋がりをもち、価値判断の重要な要素となります。

企業の目的から、企業の日常の行動、そして企業を構成する従業員との関係までを上手く網羅した書籍であり、多くの示唆に富んでいます。


15.フィルター思考で解を導く ビジネスで勝つための情報戦略

 

フィルター思考で解を導く~ビジネスで勝つための情報戦略~

沖野修也
フォレスト出版

著者は、情報を誰かの判断が入っているものであり、作られたものであると理解します。その判断があることで、相手に価値を与えることができると説きます。

すなわちそれは、多くの情報から有用な情報へのフィルターを介していると解釈するのです。そのフィルタリングの価値に関して、著者のDJないしクリエイティブ・ディレクターとしての経験から論を展開します。

本書ではアイデアは、情報の仕入れ→抽象度を上げる→組み合わせる→言語化する→アイデア、という過程が一連であるかのように図示されていますが(p.220など)、実際は組み合わせは、抽象度が上がったもの同士の組み合わせだけでなく、抽象度が上がったものと、仕入れた情報、他のアイデアとの組み合わせなど、マルチな結合が考えられます。つまり著者の考え方は一例として理解されるものと考えるべきかと思います。


16.英語が社内公用語になっても怖くない グローバルイングリッシュ宣言!

 

英語が社内公用語になっても怖くない グローバルイングリッシュ宣言! (講談社+α新書)

船川 淳志
講談社

基本的には著者のこれまでの著書の内容にそったものです。

英語はすでに多くの人たちが使用している言語であり、ノンネイティブの多い、つまりノンネイティブがグローバルイングリッシュであり、それこそがネイティブなのだと言うこと。日本人の英語下手。プレゼン下手への著者の考え方。TOEICはあくまで指標であって、点数の善し悪しが英語を論理的に操れることとイコールではないこと、などなど初めて著者の本に接する人には得るものは多いでしょう。

本書で重要な要素は、著者は単に英語の講師ではなく、英語を使ったビジネスの経験者ということです。「発音よりも発言」、「文法よりも論法」(p.16)という言葉こそ、英語上達に必要なことが理解できれば、本書の内容の多くを理解したと捉えてもよいのかも知れません。


17.残念な人の英語勉強法

残念な人の英語勉強法

山崎将志, Dean R. Rogers
幻冬舎

本書は、単にTOEICなどの点数を上げるために英語を学ぶのではなく、あくまで英語を実用にたえるべきツールとして活用できることを第一に考えられています。

学習上での上達についてラーニングカーブを引用して、学習の初期の急速に上達する感覚を得られる時期と、ある程度英語が活用できる状態の時の、同じ努力をしても緩やかにしか上達しない感覚を説明しています。

著者は、TOEICの点数はネイティブが受験しても全てが満点をとれるわけではないことを理由に、TOEIC730程度からはTOEICの勉強を離れ、自分の専門の内容で英語に向かう方が、専門用語を含むボキャブラリーを拡充しやすいなど覚えがよい旨、説明しています。

また、英語は音の感覚が重要と指摘し、発音に関してはかなり拘っているようです。ビジネスマンが再度英語を学ぼうとする際に、その要点を得るには参考になる本でしょう。


18.グローバルキャリア —ユニークな自分のみつけ方

グローバルキャリア ―ユニークな自分のみつけ方

石倉洋子
東洋経済新報社

著者が考える「オープン化」、「ORをANDにする」、「ユニークさ」という観点からキャリアに関して述べられた内容です。本書は、転職を狙うサラリーマン以外にも、卒業間近の学生なども、今後のキャリア形成の「考え方」を知る点で、参考にできると思います。

本書では、キャリアに関して、あらかじめ自分の強みややりたいことなどを決めてキャリアを形成することよりも、むしろまずはトライする中から、自分で選択していく活動過程の延長戦にキャリアやキャリア選択の可能性があることが示されています。

7人のキャリアシフトの事例からも、さまざまなキャリアの進み方があることが理解できます。また、最後には著者自身の最近のキャリア選択についても言及されています。

多くの人のキャリアの決断をしることで、自分の選択にも生かすことができるかも知れません。


19.仮想世界錬金術—モバイルソーシャルアプリに見る現代ディジタル

 

仮想世界錬金術―モバイルソーシャルアプリに見る現代ディジタルコンテンツ革命

コンテンツ革命
山上 俊彦
ACCESS

モバイルソーシャルアプリに関する書籍として読むには面白い知見を有しています。

ビジネスとして、モバイルソーシャルアプリが注目されること、仮想世界への課金サービス、コンテンツ産業の変革、の3つの要素に関して述べられています。

仮想世界と名付けられている通り、人がアプリ内での仮想世界にどのような仕掛けを作って課金にまで至るのか、その価値付けにかんする展開が面白いです。すなわちアプリの架空世界(ゲームなど)の中のモンスターを倒すために、人は楽しむ価値を見出し、それに対して課金で応えているのです。

本書では、人気ゲームとSNSの関係、そのゲーム内容からの考察など、興味ある内容が展開されています。その「仕組み」を知ることは、アプリ開発者以外にも興味を与えるものと思われます。


20.一流の人は空気を読まない

 

一流の人は空気を読まない (角川oneテーマ21)

堀 紘一
角川グループパブリッシング

日本人は「周囲と同じ」ことに価値を置き、居心地の良さを感じる性質と著者は分析します。また、本来の和は、議論し尽くして最後に到達した意見を一致団結して貫くことであり、言いたいことも口にせず、人と同じことをだけを話すことを和と理解するのは、言葉の履き違えと著者はいさめます。

また(会社)組織のスペシャリストは、全ての分野における素人であり、途中の転職においても通用せず、必要とされない、と述べます。空気を読むことに長けた連中はいらないのです。そして、企業は既に、能力主義から貢献主義へと変化しているといいます。

本書は、これら著者の現在を生き抜く人材に関する内容とともに、著者自身のキャリアに関するエピソード、DI(ドリーム・インキュベータ)を始めたきっかけなどを織り込みながら、話が展開します。これから自分のキャリアを見つめ、必要な知恵を得るために一読していても悪くはない、そのような本です。


21.伝える力

 

伝える力 (PHPビジネス新書)

池上 彰
PHP研究所

著者の経験に基づいた、伝える能力の発揮の仕方について、その基本が盛り込まれている書です。

本書は、物事を完結にまとめ、プレゼンテーション等、発表するためのコツを知る上で読むと勉強になる。特に著者が若い頃に、ほんの一面だけ捉えて知ったつもりで記事を書いていたことの述懐など、わかったつもりは怖く、謙虚になることが大切と説いています。

とかくベテランになるほど、既に十分理解していると勘違いし、謙虚でなくなる事は、どの業界でも多い事です。

また、本書のなかで、危機管理に関して記述されているのは興味を引きました。中でも爆笑問題のある一場面にそのことが反映している事例を語られると、納得した次第です。

第7章では、著者なりの表現上の注意を促しています。私も良く使用する「さて」なども御指摘を頂いたようです。この辺は今後注意して言葉の運用をしたいと思います。


22.実力大競争時代の「超」勉強法

実力大競争時代の「超」勉強法

野口悠紀雄
幻冬舎

今までの大学は、企業が採用する側にとっても効率的に優秀な人材を選択できるシグナルとしての意味を持っていました。しかし、昨今の大幅な外国人採用に見られるように、そのシグナルは、本来力をつけておくべき学力や実行力を伴わなければ意味のないものになってきています。

もはや社内公用語が英語になるのはグローバル化の必然であり、企業が優秀な人材を得るには国内だけではなく、広くアジアを含め海外に求めるのは必須です。

今までは「知識が経済的価値を持つ時代であった」が、知識が簡単に得られる今日にあっては、モデル思考ができるか否かが生命線になると著者は指摘する。確かにその通りです。

本書で述べられていることは、私も常々考えてきたことと同じです。英語、数学、就職後の勉強、どれも必要ですが、一番必要なことは就職後の勉強です。


23.超訳 「原因」と「結果」の法則 打たれ強く生きる

 

超訳 「原因」と「結果」の法則 打たれ強く生きる

ジェームス・アレン, 上之 二郎
ロングセラーズ

ジェームス・アレンの『「原因」と「結果」の法則』は、その主旨を変える事なく様々な観点から新たな翻訳本がそこかしこに生まれています。今回も「打たれ強さ」という観点からの内容となっています。

基本的には、自分自身の未来を強くイメージする事で、そのイメージを現実化すべく個人の努力のもと、成し遂げられることを説いています。その意味では、本書も数多くのノウハウ本の源となる基本的要素を兼ね備えていると言って良いです。

時折、相も変わらず、この手の本を購入してしまうのは、自分にとっての人生の軌道修正の意味もあるかも知れません。やさしく読めるので、イライラ感が増した時などには、癒しのためにももってこいの本です。


24.iPhone vs. アンドロイド 日本の最後の勝機を見逃すな!

 

iPhone vs. アンドロイド 日本の最後の勝機を見逃すな! (アスキー新書)

夏野剛
アスキー・メディアワークス

著者は、アップルとグーグルの戦略を対立構造と捉える事は間違っていると理解しています。それはアップルの事業展開領域とグーグルのそれとが異なっていることに起因します。

ガラケーといわれる日本の携帯も当初は進んだシステムを導入していました。しかし海外展開をはじめ通信料収入を主とするビジネスには限界があったと振り返ります。そして現在、キャリアが「土管化」するのかの瀬戸際であるという認識を持っています。

日本にはまだまだ伸びるだけの技術力があり、十分にリードできるだけの潜在力を持っています。それを活かすためには、経営者の甘えの排除等必要な指摘も語られています。


25.アマゾン、アップルが日本を蝕む

 

アマゾン、アップルが日本を蝕む 電子書籍とネット帝国主義 (PHPビジネス新書)

岸 博幸
PHP研究所

岸さんは、目のつけどころがユニークです。マスメディアの垂直統合も、ネットにおいては単にコンテンツの提供リソースとなっており、ネットでの基幹的役割を果たすプラットフォームにおいて、グーグルを始めアマゾン、アップルがしっかりと根を張っています。その状況が良く理解できる内容です。

また、本書は特に電子書籍に対する出版業界の現行とこれからの構造に注目しています。日米の取り組み方の比較など、現状の問題点を眺めてみることができます。

本書を通して、著者はコンテンツ制作能力の低下、とりわけジャーナリストの質の低下など、便利なツールをフリーで使う環境においては、それと同時に生起する悪い状況も把握することに目を向けるマクロな考察の必要性を説いています。

現状のサービスの進化に圧倒されながらも、冷静に事象を把握することが重要であることを理解する上で良い本です。


26.ネットアスリートの時間術

 

ネットアスリートの時間術

茂木 健一郎
PHP研究所

今やクラウド環境において複数のことを同時進行することができます。ネットを利用することにより、知識を得る方法を効率よく短縮することが可能です。

また著者の教育者としての一面として、「教養」に関しては時間短縮できないと強調しているところに表れています。その通り、自分で熟考することに対しては短縮できません。

本書では、Youtubeに対するクリス・アンダーソンの行動、著者の持論のタイムプレッシャーという考え方、愚痴に対しては、現状維持(を正当化しようとする考え方)のためには役立つ、など面白いエピソードや考え方も登場します。さらに著者の生活習慣の一部も語られています。

読者を飽きさせない内容が提供されており、一気に読み終えてしまう、そんな本です。


27.成長し続けるための77の言葉

 

成長し続けるための77の言葉

田坂 広志
PHP研究所

仕事などでイライラした時に、著者の本を読むと、なんとなく落ち着き、物事の周辺が見えるようになってきます。私にとってはとても不思議な感覚を抱く著者の本です。

本著では、われわれが成長を求めることに関して、職業人として、人間として、人間集団として、の3つがあり、各々重要であることを示唆しています。

また、本の体裁として右頁に要点を大きな文字で掲載し、左頁にその解説が述べられており、大変読みやすいです。

なぜか最初に記述されている「人生において『成功』は約束されていない しかし『成長』は約束されている」が心にこだまする。確かにかすかであっても、成長しているはず。そして、「『知識社会』とは知識が価値を失っていく社会である」に納得した次第です。


28.大前研一 洞察力の原点 プロフェッショナルに贈る言葉

大前研一 洞察力の原点

大前研一
日経BP社

ツイッターのohmaebotを発端に、大前氏のメッセージを名言集のように構成した内容です。

私も匿名のツイッターでフォローしているので改めて本書を購入しなくても良いとは思ったのですが、まとめて読んでみたい衝動にかられて読んでみました。

中でも「へっぴり腰(p.64)」、「生き方の基準(p.65)」、「質問をしない人間(p.104)」、「建設的な人(p.132)」、「顧客が欲しいものは『製品』ではない(p.150)」、「情報が豊かになることの意味(p.212)」、「4つの経済空間(p.224)」、「青天井の社会(p.239)」などには共感できました。

特に「生き方の基準(p.65)」は、私自身の価値観と同じであり、この基準を持つことで、多少のリスクはあっても挑戦できる自己を持つことができると思いました。

少しの時間があれば読み進めることができるので、頁をめくりながら自分の生き方を考えてみると効果があるのではないでしょうか。


29.情報文化論ノート—サイバーリテラシー副読本として

情報文化論ノート: サイバーリテラシー副読本として

矢野 直明
知泉書館

本書では「情報」という言葉が日本において最初に使われたとされる森鴎外の『藤鞆絵』、意味としてinformationを使った福沢諭吉の『民情一新』から始まり、情報に関する様々な引用からモザイク的にその特徴を表出させます。

梅棹忠夫や林雄二郎、またマクルーハン、シャノンなど、情報に関わる者は最低限の知識として把握しておかなければならない考え方を、広く浅く得るには良書です。サイバネティックスやドラッカーにまでその範囲は及んでいます。

ただ、山岸氏からの引用で、日本は集団主義と本書で語られるが、山岸氏は「それは幻想」という主旨で『心でっかちな日本人』という書も書いておられるので、この点はフォローが必要かと思われます。

本書は、副読本として構成されており、読みやすさも含め、その機能は十分に感じ取ることが可能です。総じて、情報に関する探究心を得られる書でもあります。


30.デザインのデザイン

デザインのデザイン

原 研哉
岩波書店


ジョン・ラスキンをはじめバウハウスなどデザインの草創期に関する内容から、現代のデザインに関する解説まで、知識を得るには良い本です。また、著者が関わる作品の解説が丁寧になされており、写真の挿入を含め、読者はそこからイメージを浮かべることができます。

特に興味をもったのは、コンピュータ・テクノロジーとデザインに関するページや、情報とデザインとの関係・関連性について記述されている点です。「デザイナーは受け手の脳の中に情報の建築を行っているのだ(p.63)」という言葉にその一端が表れています。

本書を通じて、デザインの世界の素晴らしさを堪能できます。新たな視点を創造するヒントを得るには、とても参考となる本です。


31.「きれいごと」を言い合っても世の中は変わらない

 

「きれいごと」を言い合っても世の中は変わらない

宋 文洲
生産性出版

事象を本質で捉える視点が伺えて楽しく読ませて頂きました。著者が中国に戻ってからの日本との比較が随所に現れており、興味深かったです。

面白い観点として、日中のリフォーム業者を例に、日本では中間業者が多く、業界が大きく舵を切ることに対して阻害要因となっている旨の内容です。日本は全てをひっくるめたセットで請け負うけれど、中国は顧客に合わせて融通を効かせるそうです。

また、日本の教育に関しては、高度成長が終わるまでは国民のレベルの底上げが必要でしたが、今日は大量生産、大量消費モデルに依存できなくなり、アイデアや構想力は皆と違うことをやらなけれ生き残れない。にもかかわらず、今も教育においては「底上げ」に力を入れていると分析しています。

本書のように、違いを知ることで、改めて日本の現状を考えてみることは必要不可欠かも知れません。


32.真クリエイティブ体質

 

真クリエイティブ体質

高橋 宣行
PHP研究所

どのようにして創造ないし発想していくのか、本書ではまず体感することが必要と説きます。便利さと効率を求める社会において競争に勝利するためには、アナログの行動と知恵が競争力の源泉となります。

高品質が当たり前の現在においては、もう一つの付加価値をつけることが必要であり、商品や情報の総体的価値は、モノや技術としての実質的価値と、サービスやソフトとしての情報的価値の、二つの価値を掛け合わせたものであると著者は言います。

そのために求められるのは、クリエイティブ体質であり、これは人間の真実を探す現場での観察や洞察が不可欠で、理性の上に感性を磨くことを重要視します。その例として、本書ではウォッチングを挙げ、企業向け研修などで利用・応用した経験と実際を後半で紹介しています。


32.編集進化論 ─editするのは誰か?

編集進化論 ─editするのは誰か? (Next Creator Book)

仲俣 暁生
フィルムアート社

編集とはどういうことか、編集者としての危機感など、編集者自身が語る内容です。

編集の面白さとして、「と」の結びつきを説いているところに興味を持ちました。ここでは、編集とは「と」の仕事であり、「と」とは、VSになったり、ANDになったり、WITHやORにもなる。そして異質なものの関係性から、新たなものが生まれてきます。

また、今やセンスを売る時代ではなく、「意味があること」でないと商売にならないそうです。例えば電子書籍も、単に書籍が電子化するのではなく、「文字と音と映像の組み合わせ」への新たなチャレンジと位置付けることを提唱しています。

確かに、置き換わりではなく、新たな効果が出て初めて進化と言えるのかも知れません。本書に登場する人達は、悲観的に技術の進化を見ているのではなく、そこに希望と可能性を求めている点で、私は共感します。でも、本の内容としては多少薄いかも知れません。


33.センスのデザイン—クリエイターの感性と技術

センスのデザイン―クリエイターの感性と技術

大内 エキオ
誠文堂新光社

デザインに関するセンスの形成に関して、5人のデザイナーやコピーライター、写真家、CMプランナーなど、クリエイティブな職に就いている人のインタビューから導き出そうとしている内容です。

全体として、センスの過去、現在、未来として章立てしており、その問題意識とセンスの可視化を挑む姿勢には敬服します。

最終的に著者のセンスに関する結論は、図表—1(p.201)と図表—2(p.202)に集約されます。

また、適度にポスターなどのデザインがページに挿入してあり、文章であっても親近感を持つことができました。

大変読みやすく仕上がっている本です。


34.クリエイティブ・マネージメント—「デザイン」を広げるプロデュース術

クリエイティブマネージメント編集チーム
誠文堂新光社

有名デザイナーに関しては既知であっても、それをマネジメントする人にスポットが当たることは稀です。本書は、そこをクローズアップし、クリエイターに対するマネジメントの実践とはどのようなものか、われわれに知らせてくれます。

デザイナーをリラックスさせ、クリエイティブな発想を阻害させないこと以外に、マネジメントに必要とされるスケジュール管理、対外折衝などの実際を本書で理解できす。これと同時にデザイナーの創造過程の裏側も少しだけ覗いてみることができす。

SAMURAIの佐藤可士和氏のマネジメントを担当する佐藤悦子氏などの内容は、可士和氏のデザインが依頼者との共感の上に成り立っていることもあり、マネジメントに対する大変重要な視座を得えました。


35.「売る」ための仕事術

「売る」ための仕事術

吉越 浩一郎
PHP研究所

本書ではアップル社のiPadやiPodを例に、何故今これらが売れているのかという点と、それを元にどうしなければならないのかということを、著者なりに考察しています。著者は、顧客が何に不満を感じているかを正確に把握し、一から商品コンセプトを練り上げていると把握します。それを察することができるのが営業です。
営業にとっては形式知よりもむしろ暗黙知の重要性を説いています。

本書で感心するのは、PDCAの考え方です。著者は「そこに川があれば入ってしまえ」というくらい、Pの部分が6割OKであればDすることを選択します。そしてこのPDCAで最も重要とするのがCAであり、これが盛衰を左右します。多くの企業は未だ、P創りに神経をすり減らし、Pに高い確率を得たと考えたときDする。それに加えCAが足りないため、PDCAのサイクルが回らないのです。

著者は、これからは完成度・品質では大きな差が得られないと考えています。よって基本の徹底とともに、即断即決でのスピード感が重要と説きます。


36.自分の心に「奇跡のタネ」をまく人—繁栄の「原因と結果」8つの法則

自分の心に「奇跡のタネ」をまく人―繁栄の「原因と結果」8つの法則 (East Press Business)

ジェームズ アレン
イーストプレス

言わずと知れたジェームス・アレンの訳本です。基本的には、本書の最初に掲載してある「繁栄の神殿」の図にあるように、人生を生きる上では、エネルギー、効率、清廉潔白さ、システム、共感、誠実さ、公明正大さ、自己信頼の8つの柱を築くことが肝要であることを諭す内容です。

本書は、それら各々の柱を一つずつ簡潔に説明して行く。これらを構成する道徳観を持つことは、単に正直な人間であることを証明するだけに留まらず、これこそが人生を生き抜いていく武器となると、本書を読み終える時には感じていることでしょう。

何か自分を支える原点回帰をしたい時に、素直に手に取ってみると、文章が身に浸みてくるでしょう。総じて、訳も適切であり、気軽に読み進められる本でもあります。


37.自分の頭で考えるということ

自分の頭で考えるということ

羽生 善治, 茂木 健一郎
大和書房

羽生氏と茂木氏の対談を書籍化したものです。考えることを商売としているように思える棋士の思考の中身を、対談によりかいま見せてくれる点に興味をそそられました。
情報の量が質に転換したグーグルを例として、将棋界にも情報化の影響があるらしく、それらを最近の棋士は対局中にも過去の記憶した情報を自分の頭の中で検索照合比較しながら次の一手を考えるという複雑な処理をしています。

また、対戦の一手を考える上で全検索できるコンピュータと人間との対局で、コンピュータが勝利したのですが、その対戦内容から展開する両氏の考察も面白く拝見できます。そこでは人間の本質は逸脱ではないかという点にも着目されています。

純粋に考えることとはどういうものか、学術的でなく、棋士を実例にした体験談という形態で本書を覗いてみると面白い観点に気付かされました。


38.あなたはなぜ働くのか

あなたはなぜ働くのか

吉越 浩一郎
大和書房

自分の人生の何を充実しているために働くのか、といったテーマについて至極真当に語られている本です。

長い人生において、その基本は体力であり、そのためにも十分な睡眠が必要であるとします。これを著者は「ワーク・ライフ・スリープマネジメント」と呼びます。また、人の成長は、会社や上司が成長させるのではなく、自分の力で育っていくというのが大前提であると説きます。そのためには、人に能力を発揮させたいなら、何よりも任せることが必要であるという。

面白い点として、日本では「がんばる」という言葉はありますが、これは日本語独特のものであると述べている点です。「がんばる」には「いったい何を、どうする行為なのか」という点がはっきりせず、具体的表現ではないことから海外では通用しないとのことです。

また、著者は一貫して「ホウ・レン・ソウ」を徹底し、部下に判断させない能力をはぐくむ、いわば「指示待ち人間」の養成を嫌います。この考え方に私は共感します。報酬に見合った仕事に関する著者の言及にも、私は同感です。


39.大事なのは今のあなたじゃない。この先、どのくらい上を目指そうと思っているかだ。

大事なのは今のあなたじゃない。この先、どのくらい上を目指そうと思っているかだ。

ポール アーデン
ファイドン

書店でデザイン関係の書棚にあり、たまたま開いた「理にかなっていることはまちがいだ(p.55)」の論理に、興味を覚え購入してしまいました。

「問題が解決できないのは、きみがルール通りにプレーしているからだ(p.49)」確かに。そして「クリエイティブの意味とは」全く新しい想像や価値を私たちはイメージしているけれど、実は違うという指摘は新鮮でした。プロクター・アンド・ギャンブル社の社訓は「前例のある創造性」だと言われているそうで、クライアントが必要とするクリエイティブに関してなかなか的を得ています。

そしてアルベール・カミュの引用として「勇気を持たない人たちは、いつもそれを正当化する理屈を見つける」。確かにその通りです。

簡潔で短い内容の文章と、挿入されるデザインに、奥の深さを感じ取れました。簡単だけど多くのヒントを頂いた感がする不思議な本です。


40.空気を読むな、本を読め。 小飼弾の頭が強くなる読書法

空気を読むな、本を読め。 小飼弾の頭が強くなる読書法 (East Press Business)

小飼 弾
イースト・プレス

パレートの法則のように、2割の仕事で他の8割を担えるように、収入を確保することが必要であり、この収入と読書量は比例の関係があると著者は論じます。また、テレビなどを見ている時間をコスト換算すると、はるかに本を読む方が費用対効果が良いと説明します。

それらを前提にして、とにかく本を読むことを全編にわたって力説します。ここで本とは、フィクション、ノンフィクションにとどまらず、著者が「クソ本」と称するもの、はたまたエロ本、まんがまで、とにかく読むことで得られるものがあるということを、ひたすら述べています。

下手なテレビで時間を持て余すよりも、確かに本を読むことで得られるものの方が、遥かに貴重であると私も思います。読書に慣れてない人は、とりあえず本書が力説するように、とにかく何でも読んでみることから始めると良いでしょう。


41.世界同時不況がすでに始っている! (2時間で未来がわかる!)

 

世界同時不況がすでに始っている! (2時間で未来がわかる!)

榊原英資
アスコム

基本的にはこれからの日本企業は緩やかな衰退期にあるという認識の中、どのようにこの国の舵取りをすべきかを、著者なりに提示している内容です。

著者は、「自動車の時代」は終焉となり先進国はモノからサービスの時代への転換期にあるとします。この認識は、野口悠紀雄氏と似ているようです。

さて、本書では中国、アメリカをはじめフランス、インド、スウェーデンなど、主に経済や金融に関する論が展開されます。日本においては現民主党政権において、大きな政府への明確な主張をすべき立場を強調しています。面白い主張としては「景気をよくする」使命をもった官庁は存在しないというものです。確かに我々は暗黙のうちに担当省庁の施策で何とかなっているのだろうと思ってしまうところがあります。その点で著者の指摘は面白いです。


42.カンブリア宮殿<特別版> 村上龍×孫正義

 

カンブリア宮殿特別版村上龍×孫正義 日経プレミアシリーズ

村上 龍
日本経済新聞出版社


本書は、ソフトバンク孫正義氏がゲストだった回を書籍化したものです。孫氏の生い立ちからソフトバンクの経営に至るまで、簡潔に述べられています。また、ヴォーダフォンやテレビ朝日の買収などの件に見られる氏の考え方などが引き出されています。

基本的に孫氏の考え方は、有能な頭脳を集めてそこから今までにないものを創り、それを社会に提供していくという哲学が、大学での翻訳機の製作から今日まで一貫していると感じ取れます。

さらに、ユニクロの柳井氏の社外取締役を含め、経営に関しても善き人材が彼を支援しているかのように働いていることもまた氏を取り巻く現象として挙げられると思います。孫氏に関しては、多くの書籍が市場に出ており、本書のエピソード自体は既知の部分が多いです。しかし、本書は短い時間で読めるため、これらの本ないしソフトバンク関係の本を読む前に、簡単な概要を理解する意味で一読していると理解度が増すのではないかと思います。


43.スタンフォード流議論に絶対負けない法—“勝ちグセ”をつけるセオリー!

スタンフォード流 議論に絶対負けない法―“勝ちグセ”をつけるセオリー! (East Press Business)

マーティ・キーナート
イースト・プレス

非常に解り易い口語体で記述されています。既に日本文化にどっぷりと浸かっている著者ですが、論点はしっかりしています。

内容の意図することは明確で、議論を前にして、徹底的に準備することにあります。それが余裕と自信に繋がります。それは、ブレない自分をつくる最低限の努力かも知れません。そして、相手の言う内容を理解した上で自分の意見を言う。実にシンプルです。

しかし、そのシンプルさを実現するにはかなりの努力が必要であることも本書を通して理解できます。本書は、日本人向けにアレンジしてあります。特に著者の関わる野球における審判の権限に関する頁や、一筋人間、首相の棒読みスピーチなど、心当たりのある内容も多いです。

全体を通して、議論というものが如何なるものか理解できるとともに、日本人が陥りそうな議論への対峙の仕方を掴むこともできます。サクッと読めるので、ちょっとした空き時間に一読してみては如何でしょうか。


44.プレゼンテーションの教科書 増補版

スタンフォード流 議論に絶対負けない法―“勝ちグセ”をつけるセオリー! (East Press Business)

脇山 真治
日経BP出版センター

プレゼンテーションに関わるあらゆることが一冊に集約された良書です。著者は現在九州大学大学院芸術工学研究院の教授であり、前歴は博報堂でプレゼンを多く経験された実績を持ちます。

本書は、プレゼンテーションの準備、容姿、内容、話す言葉のスピードや癖など、我々が気付かない視点からも容赦なく指摘します。プレゼンに慣れた読者にとっても、読み進める度に再度気が引き締まる思いが生じます。

本書では、著者の経験でしょうが、プレゼンの手柄を上司に奪われたり、出来の良くないプレゼンであっても商談がまとまればプレゼンの評価が上がる等、苦々しい経験からくる言葉とおもわれる記述も散見されます。逆にそれが記述されているからこそ、本書が現実に極めて近いプレゼンの教科書であるとも言えます。


45.アングロサクソン資本主義の正体 —「100%マネー」で日本経済は復活する

アングロサクソン資本主義の正体 ―「100%マネー」で日本経済は復活する

ビル・トッテン
東洋経済新報社

今日のマネー資本主義が、実体経済と乖離した原因、そしてマネーそのものの本質は何か、著者はその考察の基礎をカジノ経済に置きます。そして、そもそも実体経済と金融経済が顕著に乖離したトピックとして、それを産業革命にあったと解説します(p.91)。

この乖離をなくす手段として、著者は、普通銀行がいつでも預金を100%現金化できる「100%マネー」と称する考え方を提示します。この考えは、銀行が預金と同額の準備金を持つことにより信用創造の機能を手放すことを意味します。その上で、「100%マネー」の考え方の批判を念頭に、その反駁を試みています。そして、論は更に投機的取引におけるトービン税の導入など、乖離の抑制を促す施策を解説しています。

著者の提案がそのまま施策として導入できるかに関しては疑問の余地があるが、本書で示す論理の展開には大変興味を持った次第です。


46.デザイン思考が世界を変える—イノベーションを導く新しい考え方

 

デザイン思考が世界を変える―イノベーションを導く新しい考え方 (ハヤカワ新書juice)

ティム ブラウン
早川書房

デザインと言えば一般にアートと関連付けて頭に描く人が多いでしょう。本書は、最初のページにマインドマップが掲げられているように、思考や企業の戦略などにデザイン能力を活用することの有用性を述べています。

著者は、デザイナーの創造的問題解決として「着想」、「発案」、「実現」があり、これを組織全体に浸透させる必要を説きます。これをイノベーションの三つの空間と呼んでいます。さらに、それらの思考には、発散と収束の思考が必要なのです。

また、本書では最近、このデザイン思考の実現を意図した、スタンフォード大学のdスクールなど、医学、ビジネス、法律、エンジニアリングなど多岐にわたる生徒のコレボレートによるカリキュラムを提供している大学院設立への動きなども紹介されています。

本書は、デザインファームIDEOのCEOだった著者の翻訳になりますが、その考え方の新鮮さを十分に味わうことができる内容であり、その思考の重要性を把握することができます。


47.レポート・論文の書き方入門

レポート・論文の書き方入門 第4版

河野 哲也
慶応義塾大学出版会

薄手の本で基本的な内容が押さえられているという点では秀逸です。特に、論文作成に関する事前段階として「テキスト批評」に関して掲載されています。

特に博士論文を手掛ける人は、そのテーマサーベイを含め多くの文献に接することは間違いありません。それらの文献を上手く要約できるかの訓練として「テキスト批評」は十分機能します。

本書を通して、論文とはどのようなものかを端的に理解することができると思います。なお、本書では詳しく述べられてはいませんが、実際に論文を書く際には、決められたスタイルというものに準じて記載しなければなりません。本書では米国現代語文学協会(MLA)の注表記方法が採用されております。よって、本書である程度、基礎的事項を理解した後、学会誌の投稿規定や所属する大学、大学院における卒論、修論、博論の論文作成規定に則って記載する必要があります。


48.会議力

会議力 (平凡社新書)

奥出 直人
平凡社

著者は、単に書類を読み上げるだけや、無駄に長い時間のかかる会議は、典型的なダメな会議であると断言します。その上で、良い会議とは事前に情報を共有し、話し合いの後、新たなことを決め、すぐに議事録ができるような会議であると説きます。

本書は、その会議をコラボレーションの場と位置づけ、それを成り立たせるための理論構築と実際のEメールを利用したシステムについて紹介しています。特に理論構築部分は、メディア論あるいは発想法などが網羅され、この論理展開は大変参考になるものです。

Eメールを利用したものは、今では多くの企業でも同様の構想で実現されていることが多いと感じられます。ただし、2003年に出版された本書にとっては、当時は画期的なものだったのかも知れません。

後半は、社会やフリーエージェント等の内容も見られ、会議そのものの内容からは多少逸れている感がしますが、それはそれで読んでいて損はありません。


49.「不良」社員が会社を伸ばす

「不良」社員が会社を伸ばす

太田 肇
東洋経済新報社

著者は、モチベーションなど人的資源管理分野の著名な学者です。本の表紙に「サラリーマン金太郎」の挿絵が描かれている通り、内容はおかたくないです。

本書では、一般に元暴走族や元オタクなど、現代において優等生をはじめとした世の中の流れに沿う合理的な意思決定から逸脱してはいるけれど、むしろこれは一つのことに集中する個性や特性といったものに着目しています。著者は、意外にも「不良」な者が、実は合理的でもあることも記しています。現代は、尖った人間を排除する入社試験をはじめとした動きがあり、これが均一な社員を育てることに繋がっているが、これこそ育成しやすいという会社の意向に則していると考察します。むしろ、今、企業に必要な人材は「不良」な者でもあるかもしれません。元暴走族や元オタク社員は、その志向する方向性如何によって、素晴らしい能力を発揮する潜在能力を持ち得ている者かもしれません。これを現代企業が活かしきれてないことも、本書の中からうかがい知ることができます。


50.1兆円を稼いだ男の仕事術

 

1兆円を稼いだ男の仕事術

夏野 剛
講談社

著者は、特異のキャリアを積んでおり、その経験から得られた内容と考え方が、本書を通して伝わってきます。

英語の運用の違い、個人の信念、自分の限界、マッキンゼーとの対峙、また、その後の対峙していた人との信頼、経営者のあるべき姿、など、当たり前のことをシンプルに考えている点に共感が持てます。
しかし、この当たり前のシンプルさは、現在の日本の企業との間に乖離を持ち、それを当たり前に持っていく著者なりの行動に関しては、大変勉強になることが多いです。

また、本書で暫くぶりに「チャンピオン・セオリー」という言葉を見ました。なかなか面白い考え方なので、知らない人は、調べてみると良いと思います。

本書は、その題名に拘らず、自身の生き方を模索している人にとっても、良いアドバイスが得られるでしょう。

 

 

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